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第四章

4.打ち合わせ

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蚊帳の外にされる二人を見ながらニヤリと笑みを浮かべるアンジェとリデルはこっそりハイタッチをする。


「本当に馬鹿で助かったわ。まんまと私達の術中にかかってくれて」

「元より頭がカラの馬鹿じゃ」


馬車の中から始まり今までの出来事は全て偶然ではなかった。
何もかも計算尽くしで仕組まれていた事だった。


今から二週間前。
式典を開催する時に、前もってアンジェがある話を持ち掛けたのだ。


アッテリカ王国に出向いたアンジェは前もって手紙を出し、内々に相談したいことがあると告げた。

当初は警戒していたが、アンジェに対してリデルは悪い感情を抱いていなかったので了承し、お忍びで別邸で会うことになった。



「この度は、面会を許可していただきありがとうございます」

「いや、妾も貴女様にお会いしたく思っておりました」

「それでアンジェ王女、用件は」


アッテリカ王国の国王はお忍びで会いたいという理由を聞くと。

「二週間後の式典についてです。お二人は竜后陛下の事情はどの程度お聞きになっておりますか?」

「大体は聞いた。婚約者に売られたと…」

「でしたら話が早いですわ」

「何?」


リデルは眉を顰めた。


「その元婚約者が失脚しまして…あの馬鹿は、竜后陛下は自分の妻だと触れ回っているのです」

「何じゃと!」

「正気の沙汰か!」


二人はありえないと思った。
浮気をして婚約破棄の挙句、売り飛ばして何を今さらと思ったが…


「自称聖女は魔女となり、聖女の地位を失いました。元より素質はあれど、己の欲望に負け、自らを堕としました」

「元より、あの女が聖女とは到底思えなかった」

「うむ…」


サンドラが聖女でなくなり魔女になってもどうでもいいと思っていた。
もはや自分達には関係ないのだから。


「しかし、サンドラは聖女の地位を奪われたのを竜后陛下の陰謀だと、牢で叫んでいるのです」

「なんじゃと!なんと勝手な」


聖女の地位を失ったのは欲に溺れ、闇魔法に手を出して他人を呪ったからだ。

全ては自分が蒔いた種だった。


「このままあの女を野放しにはできません。いいえ、今はあの女よりも、竜后陛下の元婚約者ですわ。あの男は自分の地位を取り戻すために、婚約破棄を解消するつもりです」

「馬鹿か?」

「馬鹿だな」


既に婚約解消をして、竜の国にうろ飛ばすような真似を公の場でしているのに無理だろう。


「アイツは国を燃やす気か。既に竜后陛下は竜帝陛下の妃として儀式も済ませているのじゃぞ」

「ああ…竜族から番を奪う行為は最も卑劣な行為とされている。しかも天竜の妃を奪うなど」

竜族にとって番とはそれ程大切な存在であり、奪うことは決闘を申すこむような者だ。
人間と竜が戦って勝てるはずもなく、しかも相手は暗黒竜とまで恐れられている存在なのにありえないと思う二人だが、常識が通じないのがロイドだった。


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