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第四章
3.王女達の連携
しおりを挟む宮廷に到着すると、ウィンディが他の宮女を伴いおもてなしをしていた。
「皆様、ようこそおいでくださいました。まずはウェルカムドリンクをどうぞ」
給仕係がすぐに飲み物を運んでくるが、どれも違う種類ものばかりだった。
「これはジンジャエール?」
「こっちはベリージュース?」
ワイングラスに注がれた飲み物には一切の統一性がなく、ロイドはまたしても小ばかにしたような事を口にした。
「なんと統一性のない事だ…」
これ見よがしに馬鹿にして評価を下げてやろうとも思ったが――。
「これは我が国の象徴のベリーではないか」
「こちらのリンゴジュースは我が国の象徴だ。温室栽培ではないリンゴは貴重だというのに」
全てのワイングラスに注がれているジュースやワインは今日招いた代表達の国の象徴とされる果物を使った酒だった。
「なんて心温まるのかしら?この日の為に入手不可能な果物を用意なさるとは」
「この季節、これらの果物を温室以外で作るのは至難の業じゃ。それを揃え、尚且つ妾達の好みの味にするとは」
アンジェとリデルの言葉に他の貴賓達は驚く。
「本当だ…我が国のジュースの味だ」
「ここまで完璧にするには、手作業をして、手間がかかるのだ」
「それに、このグラスを見てください。我が国の象徴が掘られている…なんと見事な」
ウェルカムジュースに始まりグラスには彼等の国の紋章を刻んであったのだ。
「不思議ですわね。私達がどの位置のグラスを飲むかまでも解っていたのでしょうか」
「私が一番に飲みたいと思う飲み物まで解っていたかのようじゃな。皇后陛下は優れた心眼をお持ちだと聞くが、真実のようじゃな」
「フフッ、我が国にいた時から歓声が鋭かったのですわ。恐れ多いですが、私の自慢の友人でしたわ。聡明でお優しく、気配りも上手で気持ちの良い方で」
「妾もじゃ。あの方は気風うが良くてのぉ…あそこまで気前の良い女性はおらぬ。まるで女神様のようじゃ」
「まぁ、リデル様ったら。ですが、天竜の長を射止める方ですもの」
二人は自分の事のように誇らしげに語る中、他の代表も笑みを浮かべる。
「噂は誠のようですな」
「聞けば海皇陛下の窮地を命がけでお救いになったと聞いております」
「私は地上の竜王にも一目置かれているとか」
「私は謀反を犯そうとした不埒な者を成敗したとか」
既にリリアーナの功績は他国に流れていた。
噂を鵜呑みにしない彼等だが、リリアーナが嫁いでから天空を象徴する二つの大樹は生まれ変わり、世界樹が輝きを取り戻したのだから、信じないわけには行かない。
(フッ…馬鹿な男ね)
(今から報いを受けるのじゃ、屑が!)
和やかな空気の中、居心地の悪いロイドとゾフィスだったが、内心で笑みを浮かべる二人の王女はアイコンタクトを取っていた。
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