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第三章

15.同盟とオプション

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アッテリカ王国を後にしてクリステリア帝国に帰国すると。


「皇后陛下、私は悲しゅうございます」

「はい…」

「新婚旅行に行って、問題を起こされるとは…なんたる事」



帰って早々ロッテンマリアに怒られてしまう。


「ロッテンマリア」

「陛下もですわ!」

「はい!」


リリアーナを庇おうとするも、ロッテンマリアはイサラにも𠮟りつけるのだ。

「陛下は皇后陛下を甘やかせすぎです!夫たるもの…」

「でも、夫婦円満の秘訣は奥さんを大事にする事でしょ?白百合の我儘なんて可愛い物じゃない?国家予算を圧迫させるような贅沢はまったくしないし、むしろ帝国の利益になることが多いじゃないか」

「ですが…」

「幼くして親元離れて過ごしているんだから、些細なお願いぐらい聞いても罰は当たらないよ」

言っている事は正論だった。
リリアーナがこれまで好んだお菓子や料理の品を店に出すことで利益を得ることができる。

特に人気なのが洋食屋だった。
辺境地に住まう農家の利益も出ているのだから、文句のつけようはない。


「それに、人間の国。しかも妖精や精霊を庇護する事で我が帝国にも他国から一目置かれるだろう」

「しかしですね…」

「ロッテンマリア、もう鎖国では生きて行けないよ。昔のように人間と共存できる道を探すべきだ。兄上の悲願でもあった」


第一皇子であり、腹違いの兄を思い出しながら語るイサラに何も言えなくなる。


「陛下…承知いたしました」

「では、頼むよ。そうだ、言い忘れたけど」

「はい」


まだ何かあるのかと思ったが、同盟以上に驚くことはないだろうと思ったロッテンマリアだったが。


地竜族の竜王がしばらく滞在することになったから。


「は?」

「えっと、正確には赤竜王の息子さんらしいんだけど」


「何を!」


ロッテンマリアは狼狽するも。


「すいませーん!入ってもいいですか?」

「どうぞ」


驚くロッテンマリアを他所に巨大な赤竜が入って来る。


「初めまして、僕はレンと申します。今日から行儀見習いに来ました。よろしくお願いします」


巨大な体に似合わず、何故か侍従の装いをした竜はかなり違和感がある。


「陛下…」

「いやぁ、偶然にも迷子の竜を拾ったんだけど。彼は赤竜族の王族なんだって。偶然って怖いよね」

「またですか!皇后陛下はどうしてもこうも…海竜の次は地竜…特に赤竜だなんて!」


芋蔓形式で地竜の国とも同盟を結ぶ事になったが、ヘタレな息子を立派な竜にして欲しいと押し付けられたのだった。



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