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第三章
14.提案
しおりを挟む砂糖とは貴族の間でこそ存在するが、平民が口にすることはできない程貴重な贅沢品だった。
蜂蜜は砂糖に及ばないが、妖精が運んだ蜂蜜は別格だった。
「何じゃ、この美しい菓子は」
「旦那様は帝国一のシェフなんですよ」
テーブルには美しいお菓子が並ぶ。
これあで作ったお菓子とは異なり芸術品と呼ばれる品々だ。
「これは蜂蜜で作ったジャムで、こっちはケーキだよ。周りを蜂蜜でコーテイングしたんだ」
ドームの形をしたケーキは黄金に輝いている。
他にもジャムもキラキラ輝き宝石のように美しかった。
「この丸いのはなんじゃ?」
「マカロンだよ」
「なんと美しい…なんじゃ!この触感は…口の中で優しく砕けるぞ!」
リデルはご満悦気味だった。
隣で国王も甘いお菓子の虜だった。
「竜帝はなんと素晴らしい腕をお持ちなのか」
「そうかな?」
帝国では料理をして褒めてくれたのはリリアーナぐらいで、側近や乳母は駆らずと言っていい程止めるのだが、二人はイサラの腕の惚れ惚れしていた。
「我が国もこのようなお菓子があれば…外交手段となるのだが」
「そうですね。こんな美味しいお菓子が食べれたら…」
リリアーナは想像した。
美味しい蜂蜜を使ったお菓子が毎日食べられたら幸せだろうと。
しかし、現実に考えれば難しいとも思ったが。
「リリアーナは蜂蜜が好きなのかい?」
「はい」
「じゃあ、アッテリカを同盟国にして僕がお菓子のレシピを提供するよ。その見返りに蜂蜜を譲って貰おう。そしたら君の好きなお菓子を沢山作れるよ」
「「「は?」」」
とんでもない事を口走るイサラに全員言葉を失う。
「えっ?竜帝様、何を…」
レンも唖然としていた。
いくら何でも突拍子が無さすぎるし無茶だと思った。
「大丈夫だよ、実は料理人を増やそうと思っていたんだ。だからこの国に帝国の民を留学させて、この国を料理人を育てる場にすればいいよ。ここは果物が豊作だしね…菓子職人を育てる場として提供してくれれば、僕が支援するよ」
「なるほど、留学させるんですね」
「そうそう、外交手段地してこの国の果物を帝国に送って欲しいし、ここの果物は本当に良いから、農作物の技術を提供して、尚且つ竜族と人間の交流の場にすればいい」
比較的竜を怖がらない人間はまだいるなら、そんな人間と交流するのは悪くないと考えた。
「陛下、貴方は馬鹿なのか優秀なのか解りません」
「メイリン殿!」
日に日にイサラに対する態度が厳しくなっていた。
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