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第三章
10.因果応報
しおりを挟むリリアーナが封印の力を使った直後、サンドラは強い痛みに苦しんでいた。
「痛い!熱い!」
顔に燃える様な痛みを感じ、頭が割れそうに痛かった。
「聖女様…ひっ!」
「誰か!聖女様が老婆に…誰か助けて!」
割れる音と悲鳴を聞きつけ現れた若い巫女は悲鳴を上げていた。
その悲鳴に何事か駆けつけた女性騎士もサンドラを見て絶句し、目を見開く。
「何だ、これは」
「聖女様…」
美しかったサンドラの顔は醜くなり、片目は火傷を負っていた。
黒い霧がサンドラを包み、まるで魔物のようにも見えた女性騎士は魔力で浄化を試みるも瘴気の力は強かった。
「なんという姿に…」
「急いでお清めを」
他の巫女が聖水を持ってくるも、瘴気の力で聖水は意味をなさなかった。
「私の顔が…美しい私の顔が!」
「きゃああ!化け物!」
一人の年若い巫女がサンドラに肩を掴まれ近くで醜くなった顔を見て悲鳴を上げる。
「私が醜いですって!よくもぉぉぉ!」
「まずい!」
サンドラは我を失いナイフを片手に巫女に襲い掛かろうとしたが、後方から矢が飛んできた。
「ぎゃあああ!」
「完全に理性を失っているようね」
「王女殿下!」
アンジェが弓矢を構えながら矢を放った。
「悪魔に魂を売った亡者め」
蔑んだ目で睨みつけるアンジェは矢を更に射る。
「ああああ!」
「「「王女殿下!」」」
アンジェに襲い掛かるサンドラの体から出た黒蛇。
しかし、その蛇が切り裂かれる。
「ルーカス」
「殿下、無茶はお止めください」
「護衛がいるのでそこまで心配してなくてよ?」
しれっと言い放つアンジェに頭が痛かった。
邪悪な気配と、闇の魔力を感じたと思ったら、神殿に向かったのだ。
ルーカスは急いで後を追い、サンドラが呪い返しを受けていたのだから生きた心地がしなかった。
「私が一歩でも遅れていたら巫女達は餌食になっていたでしょう」
「だとしてもです。あのような無茶を…いいえ、とにかく、この老婆をなんとかしましょう」
剣で斬りつけ、呪縛魔法で動けなくしているが、また暴れ出すかもしれない。
「呪いにまで手を出したのね…」
「ええ、かなり厄介な呪いです。呪い返しを受けるのは、自業自得です」
「人を呪わば穴二つって言うけど。こんな形になるなんて…本当に哀れだわ。でも、これで神殿を裏で操っていた連通も炙り出せるわ」
「サンドラも所詮は駒だと言う事ですか」
「ええ」
二人は利用されたサンドラに憐れみの視線は向けても助ける気はなかった。
これまで散々他人を踏みつけて来たのだからその責任を取って貰わなくてはならない。
そして、その日から神殿が担ぎ上げた偽聖女としてバッシングを受ける日々が始まった。
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