竜皇帝陛下の寵愛～役立たずの治癒師は暗黒竜に今日も餌付けされ中！

第三章

7.わんぱく王女

一方その頃。


「浮気じゃな！」

「「「はい？」」」


レンの付き添いでアッテリカ王国に到着し、こっそり王宮に忍び込み、問題姫君の元に向かったのだが。

「妾がいながら他に女を作るとは何事じゃ！ヘタレドラゴンの癖に」

「ちょっ…誤解だから」

「ええい、こうなれば白い手袋じゃ！そなたに決闘を申し込んでくれる」


噂では病弱と聞かされていたのだが随分と元気だと思ったリリアーナだが。


「うっ…」

「ああ、リル！ダメだよ…体が弱いのに」

「ええい！誰の所為じゃ。そなたは妾の友であろう？唯一無二の親友じゃと申したではないか。なのに他の女を連れてくるとは！」

「だから誤解だよ。僕の一番はリルだよ。彼等は君の病気を治してもらうために来てもらったんだ…」

「正確には、罠にかかり空腹で倒れ、泣いているのを我が主が見つけたのです。ちなみに我が主は既婚者ですので、問題ありません…それ以前にこんなヘタレでショボくでダメダメ竜等、お断りですね」


（（（酷い！）））


メイリンは無表情で淡々と告げる。
表情がないだけあってさらに冷たく聞こえるので、レンは涙をポロリと流す。


しかし追い打ちをかけるように。


「確かにそうじゃな。レンはこの世で一番ヘタレなドラゴンじゃ。生まれる種族を間違えたのだじゃ。妾がおらぬと何もできないダメダメ故に…ないな」

「酷いよ…」


一人いじけて泣き出し、床にのの字を書きだすレンはかなりうざかった。


「してそこの者…ん？そなたはもしやアンシー家の姫か」

「はい…」

「婚約者に蔑ろにされ、似非聖女に浮気をしたあげく、厄介者払いの為暗黒竜に生贄にされ、その後すぐに元婚約者は他の女を婚約者にしてやりたい放題をしていると噂になっている。あの哀れな癒しの姫君か！」


「…一応そうですね」


既に他国まで噂が流れているなんて大丈夫なのだろうかと本気で心配する。


「父上も嘆いておられたぞ。婚約者を解消するならまだしも、大勢の前で婚約破棄など屈辱以外の何者でもないわ。挙句の果てに自分の欲望の為に売り飛ばすとは屑の極みではないか」

「白百合…そんな酷い目に」

イサラは隣でよよっと泣き出し、竜騎士は殺意を抱いていた。
メイリンは無表情で笑っているので余計に恐ろしかったのだが、今は優先すべきは過去の事ではない。


「リデル王女殿下、私は貴女様の病気を治す為に参りました」

「妾の病を治すと申すか？」

「はい」


今は病に苦しむリデルを救うことが最優先だった為、ここに来た理由を話したが。

リデルの表情は険しくなった。

同時に憎悪するような表情となってしまった。