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第二章
42.伝説の剣
しおりを挟む天竜剣とは、三種の神器の一つだった。
その昔、白竜が天空を狙う邪心から守る為に使われたとも言われている。
この世界には三つの秘宝がある。
別名三種の神器と言われ、剣・鏡・玉の三つ。
三つで一つの力となり、三種の神器を正しく使いこなせば世界を平和に導くとも言われている。
しかし、竜帝に相応しくない者が長い歴史の中所持したことにより、真の竜帝に相応しくないと判断された後に封印された。
天竜剣を見つけるには聖剣の存在が必要不可欠だった。
同時に対となる鏡があってこそ天竜剣は反応し、姿を見せるのだった。
「あれぇ?抜けちゃった」
「あ…ああ、なんて事ですの!竜帝の証の剣を抜くなど…妃殿下!」
「わぁぁぁ!ごめんなさい。戻します!」
「戻さなくて結構!」
人型に戻ったロッテンマリアは言うまでお無く嘆いた。
何処の世界に覇王が持つ剣とも呼ばれる剣を人間の、しかもまだ子供であるリリアーナが抜くなど前代未聞だ。
「白百合、抜いても大丈夫なの?触って平気?」
「はい、でも…なんかべたべたして気持ち悪いですね。しかも臭うし」
「なんと罰当たりな!」
先ほどまでの緊迫した空気をぶち壊すリリアーナに更にロッテンマリアは激怒した。
「しかし、何故リリアーナに反応したんだ?聖剣を持っているならまだしも」
「持ってますよ」
「「「は?」」」
きっぱりと言い放つリリアーナにイサラも耳を疑った。
「えーっと王家に伝わる聖剣です」
「ちょっ…何で君が持ってんの?」
「妃殿下!そんな物を何故?もっと早く行ってくだされば早々にガイアンを失脚できましたのよ!」
「そういわれても…」
帝国の宝剣の事など知らなかったのでここで責められても困ると思った。
「嫁入りに餞別に貰ったんです」
「餞別…鏡もかな?」
「はい王女殿下がくださいました」
(((どんな国だよ!)))
普通王家の宝を選別にするか?とも思ったが、実際持っているので何も言えない。
「あの…どうなるんでしょうか」
「どうもこうもありませんわ!天竜剣を抜くことが許されるのは白竜様の寵愛を受けた竜后陛下とその血筋を受け継いだ方のみ…故に」
「故に?」
「貴女様は本日より竜后陛下となります」
「ええええ!」
色々すっ飛ばして女性で最も地位が高い立場いなってしまった。
「でも、私は生贄なのにどうするの?」
「確かに贄であるが、問題ない」
「大問題でしょ?戴冠式が終わったら私は食べられるんでしょ?」
「いや、食べるは食べるが…君はまだ幼いし夫婦の営みは難しいだろ」
「え?私をぺろりと食べるのに何で夫婦の営み?血肉になるのに」
「え?」
二人の会話は成立しているようで成立していない。
以前からリリアーナの発言は所々おかしいと思っていたのだが、ここで女官達はようやく気付く。
「姫様、食べるというのは…もしや」
「うん、陛下に美味しく料理をされメインディッシュに食べられる事よね」
真っすぐな瞳でキッパリ放った言葉に誰もが固まった。
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