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第二章

38.パイドラの墓穴

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計画は完璧だったはずだ。
ここまで順調だったのに何故こんなことになったのか。

裁判に同席していたパイドラは怒りを隠せなかった。

(民草が!)


とんだ邪魔が入り、今すぐにもでもむち打ちにして黙らせてやりたいが、既に女祭司が裁判に参加する時点で不可能だった。



イヴは女性ながらもして最年少で女祭司に上り詰めた人物だった。
聖職者も男尊女卑は存在するが、彼女は優れた知識と教養に血筋にをもってして上へ上り詰めたのだ。


彼女は聖職者の鑑でもあり、いかなる時も平等に接するあまり、一部の貴族に疎まれていた。
女の癖に生意気だと、女は大人しくしていればいいのだと散々罵倒を浴びせられた。


「さぁ裁判を始めましょうか」


そしてイブの元、罪状を明らかにし。
ガイアンの仕組んだ罪はお粗末だったことが明らかになる。


「こちらは、爆発事故があった場所です。妙だと思いませんか?」

「事故があった場所はリリアーナ嬢が庇護している領地だけ。西の領地には一切被害がない…普通はご自分が庇護する領地を爆破するのはおかしい」

「そんなもの…」

「そこで調査を進めたら、このような者が出てきました」


証拠品と出されたのは火薬に使われていたモノともう一つ、硝子のは破片だった。


「リリアーナ嬢にお聞きします。貴女は人間で、闇魔法はお使いになれませんね?」

「はい、私は結界、治癒以外の魔法は一切使えません」

「ありがとうございます。なのに、何故闇魔法に使われるこの水晶の破片が落ちていたのでしょう。この水晶は別名黒魔水晶と呼ばれ、闇の魔力を使って力を蓄積させ爆発させることができます。しかしリリアーナ様がこれを知る術はありません」


「何を…」

「何故ならこの水晶はリリアーナ様が生まれる前には帝国内から使用不可となり禁じられていたのですから。例え知ったとしても他国から嫁いだリリアーナ様に扱えるはずもありません」

黒魔水晶は瘴気が強く、浄化能力があるリリアーナでも触れれば影響が出る。


「もし爆弾を仕組んだ者がリリアーナ様ならば火傷の後が手に残り、呪印が手に刻まれているはずです。司教様、真実を明らかにする為にも鑑定を望みます」

「ふっ…ふざけないで!そんな事をして何になるのよ!」

ここでパイドラは初めて口を開く。
もしここで鑑定をされたら厄介だと思ったのだ。


「例え鑑定しても、その女が手下に命じたかもしれないじゃない。黒魔水晶を大樹に埋め込んで二週間以上もが達っているから正確な鑑定は難しいわ」


「ほぉ?そうですか」

「そうよ…」

「やめぬかパイドラ!


ここで既に自分が失態を犯している事に気づかず焦ったパイドラはぺらぺらしゃべり出した。

「それにロドの村が焼けたのは…」

「黙れ!」


バシッ!


「きゃああ!」

耐え切れなくなったガイアンはパイドラを殴ったが既に遅かった。


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