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第二章
33.帝都での噂
しおりを挟むその頃帝都ではリリアーナが悪女としての噂が流されていた。
新聞では帝都内で起きる事件の黒幕がリリアーナだと噂が流れていたのだが…。
「おい、聞いたか?」
「ああ、ここ最近の事件は全部妃殿下の仕業らしいぞ」
「やっぱり、他種族の物が嫁いでくるからこんなことになるんだ」
帝都内の酒場では男達が酒を飲み明かしながら酒の肴代わりにしてあれやこれや噂をしていた。
「おい、何で酒を下げるんだ」
「アンタは今後一切酒を出さないよ。入店禁止だ」
「は?」
この店は帝都内でも酒が美味いと人気だった。
店を切り盛りする女主人は、飲んでもいない酒だけでなく肴も下げていた。
「ここにある酒は妃殿下のご厚意で出している酒だ。魚だって妃殿下が考案してくれたんだ。今のアンタ達に飲む資格はないさ」
「そうさ、あの方は地方の貧しい農家にも目を向けてくれたお優しい方だ。辺境地出身故に、辺境地の民の苦しみを理解しているお方だ」
「妃殿下のおかげでどれだけの連中が飢え死にしなかったと思ってんだ!それだけじゃないよ」
「男尊女卑が酷いこのご時世に私達に店を出す許可までくれたんだ…くだらない噂に流されやがって」
「この馬鹿男どもが!」
酒場で働く女性だけでなく、女性客も好き放題言う男を怒鳴りつける。
この場にいる女性達は性差別を受け、出身地が地方というだけで馬鹿にされ続けていた。
挙句、未だに男尊女卑が激しく女性は店を出す許可が取れなかったのをリリアーナが、王宮専属にパン職人を雇い、地方で取れた野菜を王宮で使うように指示して、農家を少なった。
それだけでなく、廃棄せざる得ない野菜を捨てることなく使ってくれたのだ。
農家の者にとって汗水たらして作った野菜を捨てられる程悲しい事はない彼等にとってリリアーナの好意はどれだけ嬉しかったか。
リリアーナが美味しいと絶賛したことで他の貴族もその野菜に目を向け。
これまで貴族の食事に相応しくない料理だと言われが、竜妃が美味しいと言えば無視できなかった。
「アンタ達だって散々妃殿下に助けていただいたのに…この恩知らずが!」
「だいたい噂を流してるのもあのクソ大公だろう」
「事件が立て続けにあるのは妃殿下と陛下が懇意にしている町や村だ…その時点でやらせじゃないか!」
「「「そうだそうだ!」」
女性陣は男達を睨みつけ店からつまみ出す。
「男達に負けるんじゃないよ!こうなったら私達で妃殿下をお守りするんだよ…女の時代を作る為にも妃殿下を支持するんだ」
「そうだよ。あんな浪費家で悪魔のようなパイドラ妃が皇后になったら帝国は終わりだよ」
「皆で妃殿下を守るんだ…声を出せ!」
「「「妃殿下の名誉を守れ!」」」
女性は団結するとある意味、騎士団よりも恐ろしい。
そして群衆の声は時としてどんな権力者の声よりも強い者であることをガイアンもパイドラも知らなかった。
そしてその声は帝都から地方に続き、女傑軍団と呼ばれたのだった。
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