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第二章
28.策士
しおりを挟む完全に敵にしては行けない者を敵に回したと誰もが思った。
普段怒らない人間ほど一度怒らせたら恐ろしいのだと身を持って実感した彼等はその後、策士と言えるほどの才を発揮するリリアーナを見ているしかできなかった。
第二の作戦の実行の為、リリアーナは疑われやすいように行動し、イサラに送られた白百合の髪飾りを庭に落とした。
その後すぐに、爆弾が起きたのだが…
「良く爆弾があると解りましたね」
「火薬の匂いには敏感なの。それにあんな元時代的な爆弾を使うなんて馬鹿じゃないのかしら?あんなの私の魔力でも無効化できるわ…馬鹿すぎるわね」
「いえ、普通は無理だと」
リリアーナは癒しの姫君と呼ばれるだけあって癒しの魔力に特化していると同時に結界魔法も多少ならば使えるので応用した。
「代わりの爆弾は見た目は派手だけど威力が少ないのにすれば実害は少ないわ。でも王宮が破損されるなら不要な部屋を壊せばいいのではないかしら?」
「例えば?」
「招かざる客の部屋とか?」
ニヤリと笑うリリアーナの表情はこれ以上無い程悪人顔だった。
「ついでに無駄に煌びやかな馬車も粉々にしてくださる?」
「かしこまりました」
「ちょっと、ディーン様!」
普通に畏まるディーンと竜騎士一同を睨む女官達だが、時すでに遅し。
彼等は既に実行に移していた。
「次の計画は私は謀反人になる事よ!」
「しかし、それは…」
計画のためとはいえ、リリアーナを囚人として捕らえるのは忍びない。
「水があれば一週間ぐらいなんてことはありません」
「姫様!」
いい加減自分の立場を自覚してくださいと叫ぶフリーダは泣きたくなった。
「大丈夫よ!私は洞窟で遭難した事もあるから!」
「自慢になりません」
辺境地で逞しく育ったリリアーナが頼もしく思える一方で、ある意味パイドラとガイアンを哀れに思った。
どうせ二人の事だから無知で世間知らずのか弱い姫君を想像したのだろうが、その真逆な姫君が返り討ちにしようとしているなど知りもせずにいるのだろうと思った。
(自業自得ですが、哀れですわね)
ある意味一番行動パターンが読めず、一番怒らせたら厄介な人物の逆鱗に触れてしまったのだから、哀れとしか言いようがなかった。
「とりあえずちゃっちゃっと私を幽閉する準備をお願いします」
(ですが…)
ここまぜ率先して行動できるのもどうかのだろうかと頭を悩ませる女官三人組だった。
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