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第二章

26.卑怯な罠の裏側

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ガイアンが王宮に訪れる時点で、イサラは覚悟をしていた。
平和的に解決をする事など不可能だと思っていたし、いずれ対峙しなくてはならない。


「妃殿下に容疑がある以上は、陛下もご理解いただけますでしょうな」

「いいでしょう。ただし、我が妻が無実だと知った気はそれ相応の処置は取らせてもらいます。そしてその主犯にはそれ相応の報いを」

「はははっ、まるで犯人は別にいるとでも言いたげですな」


ガイアンは高笑いをしていた。
既にリリアーナが犯人で罪人出ることを決めつけているようだが、イサラには確信があった。


リリアーナがそのような事をするはずないし、する理由もない。


合理的に考えも、人間側が竜の国に危害を加えることはメリットどころかデメリットでしかなく、幼いながらも政治という物を理解している聡明な幼き妻は解っているのだ。


「お前達、すぐに罪人を捕らえよ」

「「「ハッ!」」」

控えていた警備隊に命令をくだし、ガイアンはニヤリと笑った。


(馬鹿め、小娘を殺したらお前もあの世に送ってくれる!)


内心では嘲笑い、イサラが帝位を奪われ無残な最期を迎えるのを想像して笑みを浮かべた。



そしてその一時間後。



リリアーナは拘束され、北の牢に拘束されたのだった。

通常、北の牢は貴族や皇族が捕らえられるような場所ではなくベッドすらない牢獄だった。
水が与えられ、食事も食べられた物ではない固いパンで、服装はボロボロのワンピースのみで貴族育ちの姫君ならば半日で気がおかしくなるような牢屋だったのだが…



「うん、まぁ、水と食事があるだけ問題ないわね」


本人は至って元気だった。


ガチャガチャ!


「よし取れたわ」

手錠の鍵をヘアピンで器用に解除し、手が自由になる。
足枷も同様に自由になり、横に寝ころびながら天井を見上げる。


「妃殿下…」


「ディーン」

天井から顔を出しらディーンは牢屋に着地する。


「どう?守備は」

「問題ありません。妃殿下の仰せの通り髪飾りを庭先に落として参りましたが…ここまで簡単に事が進むとは」


「庭でお散歩している時に臭ったのよね」

「妃殿下…」


実は先ほどの爆弾はガイアンが仕組んだいたが、いち早く気づいたリリアーナが竜騎士と協力して入れ替えたのだ。


爆弾で被害は出たが、建物の破損はあれど女官や侍従を批難させたので怪我人は出なかった。


「あのガイアンという男、随分と卑怯だけど…協力者を間違えたわね」

「ええ、妃殿下の作戦通りに進めますと。協力者のパイドラ妃はあっさり口を割りましたよ」

「ああいう人は自分が優勢になると油断してボロを出すのよね。もう少し泳がせて…どうせこの騒ぎに乗じて私の評価を落として陛下の評価も下げる気だわ。あわよくば帝国を混乱に導いた悪しき竜帝に仕立て上げ、ガイアン大公は帝国を救った英雄にでもなる気だわ」

「子供じみてます」

「本当に…」


笑顔ながらも目が冷たく光る。
リリアーナはこういうやり方が一番嫌いだった。

帝位争いをすれば民が火の粉を被ることなどパイドラもガイアンも知らないだろう。

自分達さえよければいいと言う考えが大嫌いだったのだ。


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