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第二章
25.謀反
しおりを挟む二人の睨み合いがしばらく続いた中、爆音が聞こえた。
「何事だ!」
「申しあげます、謀反です!」
執務室に現れた侍従が告げた言葉に誰もが言葉を失う。
「謀反だと?」
「何者かの襲撃により、現在王宮が責められております…反乱軍が入り込んだようです」
「妙な事だ。外部から入る事は不可能…となれば内部に内通者がいると考えるのが妥当だな」
「大公殿下!何を…」
表情も変えずに告げるガイアンにミゲルはまさかと思った。
「帝国の結界を簡単に解除でき、内通者を忍び込ませることができる者等一人しかおらぬ。妃殿下何所にいる?」
「それが本日は王宮を出て誰も見ておりません」
「ほぉ…誰も見ておらぬとは妙じゃな」
ニヤリと笑みを浮かべるガイアンに侍従が差し出したのは髪飾りだった。
「爆発した現場にこのようなものが」
「白百合の髪飾り…」
「何故現場に落ちていたのでしょう?」
侍従がまるで疑いの目を向けるように告げた居た。
「まさか、内通者は妃殿下ではりませんか?」
「何だと貴様!」
「待てミゲル」
剣を抜こうとする、ミゲルを抑え込む。
「なんと、野蛮な事だ」
「よさぬか?信頼していた妃殿下が売れ義理物だったので動揺しているのだろう。許してやれ」
「大公殿下は何と慈悲深いのでしょう」
二人のやり取りに、イサラはとんだ茶番劇だと思った。
事故現場に竜妃の私物を置いて、本人が行方知らずなだけで犯人だと言うのはあまりにも軽率。
「私の護衛は、物事の本質が良く見えるものでね?くだらない茶番劇をあっさり信じる無能に苛立っているのでしょうね。こんな子供のようなくだらない脚本は幼児でも思いつきます。本当に誰かがこんな幼稚な事を考えたのか」
「なっ…幼稚だと!」
「おや、何故そなたが怒るのだ?私はそなたを馬鹿にした覚えはないのだが」
「現に、人間の小娘は行方知らずであろう」
「小娘?」
ピクリと眉を動かすイサラ。
「叔父上、先ほどから我が妻に対して随分な物言いですね?」
「謀反人を庇おうとは…」
「現場に竜妃の私物が落ちているだけで、犯人とは、浅はかな…まるで彼女を犯人に仕立て上げたいように見えますかが」
「何を馬鹿な」
あくまで冷静はイサラは感情的にならなかった。
ここで感情的になった方が負けだが、内心は穏やかではいられなかった。
(白々しい!)
心外だと言う表情をしながらも、リリアーナを犯人に仕立て上げようとしているのは明白だ。
タイミングよく、事故現場に私物が見つかり。
尚且つ本人が王宮内にいないとなると既に先手を打たれている可能性がある。
だが、イサラはここで動揺を見せる気はなかった。
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