竜皇帝陛下の寵愛~役立たずの治癒師は暗黒竜に今日も餌付けされ中!

ユウ

文字の大きさ
上 下
43 / 128
第二章

7.乳母の不安

しおりを挟む



長い間いがみ合っていた天界と海界に終止符が打たれた事によりクリステリア帝国に変化が訪れた。


ずっと枯れ木だった白銀の大樹が息を吹き返した。
これまで魔力を失っていたのだが、生まれ変わったかのように強い輝きを放ちだした。

同時に黄金の大樹も輝きを取り戻した。
そのおかげで世界樹も輝きだし、葉ができ芽が出始めたのだった。

そのおかげで海は以前よりも深い青色に染まりエメラルドのように輝き。
荒れ放題の珊瑚も再生し始めた事により、完全復活したセイレスは深海の女神としての威厳も取り戻すことができた。



「ああ…なんて事でしょう」

「ええ」


朝一番からロッテンマリアは困り果てていた。
女官三人組もリリアーナの身支度をしながらもため息が尽きない。

「どうして困るの?いいことづくめじゃない。珊瑚が枯れると海の生き物は死んじゃうし」

「海は全ての命と繋がっています。あのまま珊瑚がすべて枯れたら我が帝国も危うかったでしょう…ですが、天界と海界が再び同盟を結んだとなれば色々厄介なのです」

「敵対するよりはいいと思うけど?海皇に責められたら帝国は海に沈むわ。絶対勝ち目ないわ」

「姫様ぁ!」


竜妃として言うべきことではないと咎めるも、竜帝としてまだまだ未熟なイサラと千年以上も海を守り続けた海皇の力は強大だった。

その妃も同様に。


「味方になってもらえば他の種族だって手が出せないわ」

「姫様…」

「力を持ちすぎるのが脅威だとしても力がないと国を守れないし、強い種族が弱き種族を守るのは義務よ。他の種族を守り、暗黒竜のレッテルを取るには良い思うわ」


一同はぽかんと口を開けたまま閉じられなかった。
まだ幼いリリアーナがここまで先を見越して考えているとは知らなかった。

普段何も考えていないように見えて考えていた。


「まぁそんなわけでとりあえず陛下の人脈作りに地竜族を味方につけるのが得策だっておじ様が言っていたわ」

「姫様…おじ様とは?」

「海皇陛下」

「「「ああああ!!」」」


あっけらかんと言うリリアナ―ナに本日はロッテンマリアも悲鳴を上げた。

「偉大なる海の父と呼ばれる海の皇帝をおじ様等…なんて恐れ多い事を!」

「パパって呼んで欲しいと言われたけど」

「あの変態少女趣味親父!姫様に何んてことを!」

メイリンだけは偉大なる海の支配者を変態親父だと言って貶していた。
リリアーナが怪我をする原因を作った本人なので今でも恨み言を言っていたのだ。


本人も前で言えば不敬罪にされるのだが。


「はぁー…頭が痛いですわ」

ロッテンマリアは今回の事は遠くない内に三界に知れ渡るだろう。
竜族だけではなく他の種族にもリリアーナの功績が届けば、イサラに敵対する者達に狙われるだろうと危惧したのだった。

しおりを挟む
感想 149

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路

八代奏多
恋愛
 公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。  王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……  ……そんなこと、絶対にさせませんわよ?

【完結】元妃は多くを望まない

つくも茄子
恋愛
シャーロット・カールストン侯爵令嬢は、元上級妃。 このたび、めでたく(?)国王陛下の信頼厚い側近に下賜された。 花嫁は下賜された翌日に一人の侍女を伴って郵便局に赴いたのだ。理由はお世話になった人達にある書類を郵送するために。 その足で実家に出戻ったシャーロット。 実はこの下賜、王命でのものだった。 それもシャーロットを公の場で断罪したうえでの下賜。 断罪理由は「寵妃の悪質な嫌がらせ」だった。 シャーロットには全く覚えのないモノ。当然、これは冤罪。 私は、あなたたちに「誠意」を求めます。 誠意ある対応。 彼女が求めるのは微々たるもの。 果たしてその結果は如何に!?

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」  五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。  他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...