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第二章
4.遅れて登場
しおりを挟むどれだけボロボロになってもリリアーナは折れなかった。
結界魔法で雷を防ぎながら癒しの魔法を使い続け、次第に黒い雷は浄化され消えて行った。
「セイレス!」
「起きてください深海の女神様…貴方の大切な海を守ってください!」
既に立つ事もままならない状態で最後の力を振り絞ろうとした時だ。
「行かん!」
完全に消えたと思った黒い雷はリリアーナを襲った。
(もう結界を保てない…次受けたら!)
既に魔力は限界だった。
「おのれぇぇ!それ以上は許さんぞ」
「海皇様!」
目覚めてばかりで体の自由が利かない海皇は体に鞭を打って前に出る。
「我が妻だけでなくか弱き姫にまで…許さん!絶対許さんぞ…」
今攻撃を受ければ海皇の命は危ないが、リリアーナを犠牲にするよりはマシだと思った。
「姫よ、感謝する」
「え?」
「私はここで消えても、そなたの優しき思いは忘れぬよ」
小さな体でここまでしてくれたのは、リリアーナだけだった。
いや、千年以上前にも一人だけ存在した。
(心優しき乙女よ…感謝する)
目を閉じながらリリアーナの壁になろうとした時だった。
「僕のお嫁さんに何をするんだ!」
「へ?」
竜に乗ったイサラが現れ、即座に強い結界を敷いた。
そして雷は光の壁で防がれた。
「白百合!大丈夫かい!」
「えっ…陛下?」
「なっ…鼻たれ小僧!」
間一髪の所で二人の命は救われ黒い雷が完全に消えた。
「姫よ」
「はい!」
再び癒しの旋律と歌を歌い、強い光に包まれ石造が壊れた。
「セイレス!」
石造が壊れた事により本来の姿に戻った。
「貴方…」
「ああ、本当に良かった。良くぞ妻を目覚めさせてくれた。感謝するぞ姫」
「はい」
既にフラフラのリリアーナはそのまま倒れこんでしまった。
「白百合…ひぃ!血だらけに火傷だらけ!僕のお嫁さぁぁぁん!」
「ああ、何と言う事じゃ。わしが目を離した所為で…死んでお詫びを」
イサラと一緒にかけつけた海亀のタロウがハンカチを噛みしめながら泣いていた。
「後で鍋の具にするから」
「はい、責任を取って姫様の糧になりましょう」
「キュー…」
イサラを乗せてここまで来た海竜は飽きれた声で鳴いていた。
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