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第二章
2.竜帝陛下の実力
しおりを挟むロッテンマリアの雷は竜帝すらも金縛りにさせた。
「なんて体たらくなのです!お前達は!」
「「「申し訳ありません」」」
女官達も一緒に正座をして土下座する。
「誘拐されたにせよ、人間の姫様が海底にいるのは危険です。第一海の加護を持たぬ人間が海底で長時間いればどうなるか、体の体温が下がり最悪の場合」
「白百合ぃぃぃ!」
「陛下、皇帝ともあろう者が人前で泣く者ではありません」
「だって僕のお嫁さんが…お嫁さんが死んじゃうよ!」
情けなく泣き叫び窓から飛び降りて海に身を泣けようとするイサラを力で抑え込むロッテンマリアは何時の間にか本来の姿に戻っていた。
「三界の侵入不可同盟をお忘れですか?勝手に海底に行くことは禁じられておりますわ。そうでなくとも最近は海が頻繁に荒れております…噂では深海の女神がご病気だとか」
「うん、その所為で人魚達も弱り切っているって…エルフ狩りをしている人間達はこれ幸いと彼女達を捕獲しようとしているとか」
「その通りです。故に加護を持たぬ者は入れません。ですが、海の出身の竜ならば可能です」
「そんな悠長な!」
今から人選を選んでいる余裕はない。
しかし、勝手に入っては行けない領域があるのも事実で、長自ら国を混乱に導くのは許されない。
「僕が正式に訪問する。竜の玉を持て」
「陛下!」
「深海の女神にお見舞いをすると言う名目ならば無下にできないはずだ。#水竜に協力してもらう」
「しかし彼等は中立です!」
「だからだよ」
中立だからこそ不測の事態であれば協力してくれるかもしれない。
「彼は平和主義だ。天界と海界が争うことを望んでいない、何より番を大事にする種族だ。
大人しい性格で、海と陸地の双方を行き来している竜族だった。
人を乗せて泳ぐことを好み人間にも優しいと言われているのだが、その理由は彼等の祖先がまだ子供だった頃人間に拾われ育てられたことだ。
かつては他の種族から迫害を受けていたのだけど、彼等に救いの手を差し伸べたのが、クリステリア帝国の初代皇帝の妃で。
親代わりを務めたのだから。
そんな理由も会って彼等は人間を傷つける真似はしない。
「急いで彼等に連絡を」
「はっ…はい!」
急いで使者を送らせることにしたのだが…
「普段ヘタレなくせに、どうしてこうも頭が回るのでしょうか」
「本当は優秀なのに…ああ嘆かわしい」
イサラの迅速な行動を常日頃から発揮できればどれだけ役に立つかと思う側近一同だった。
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