竜皇帝陛下の寵愛~役立たずの治癒師は暗黒竜に今日も餌付けされ中!

ユウ

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第一章

閑話3.不穏な兆し①

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ウィンドル王国は海に囲まれた島国は外敵から守る結界により国は守られていた。

その結界は守りだけでなく恵みをもたらしていた。
結界とは敵から身を守るだけでなく浄化能力があるのだが、そんな結界魔法を使えるのはほんの一握りだった。


かつて白き巫女と呼ばれた少女が結界で国を外敵から守り、癒しの祈りを捧げていた事から人外から国を守り反映する事が出来たのだ。


清らかな乙女の祈りとはそれ程にまで重宝されていた。

しかしその祈りの力が最近になって衰え始めていたのだ。

その所為で、西の領地は荒れ始め、魔獣が暴走し始めたのだ。


「これはどういうことだ」

厳しい表情をする王は、司祭を呼び出し厳し声で告げた。


「西の神殿が崩壊寸前にあるとは、前代未聞だ」

「申し訳ありません」

「状況を説明せよと申しているのだ。西の神殿だけではない東の神殿も崩壊寸前だと聞いている…中央神殿にて聖女が祈っているのならば」このような事はないはずだろうに」

「聖女が役目を怠っているとしか思えませんわ。神殿側は己の役目を放棄したと思っても良いのかしら?」

隣で王妃のジェリアンも不快そうな表情を向ける。
聖女の役割は国を守ることでもあり、東西南北にある神殿を守ることが義務付けられている。

その為聖女は重宝されるが、役割を果たさなくてはならなかった。

「この度、アンシー家の姫君は聖女の為に身を犠牲にしたのだ。にもかかわらず聖女は役目を放棄して何をしているのか是非聞きたいわ?彼女はどうしていて?」

王女であるアンジェは嘆くように兄に寄りかかる。

「我が王家に忠誠を誓う一族の姫君を犠牲にしてまで聖女をお守りしたのです。聖女の役目を果たせないとあればどうなるか…民の不満は募り、不審に変わり神殿側にも影響が出ますわ」

「そうだな…民が暴動を起こせばどうなるのか」

「そっ…それは!」

司祭は真っ青な表情になる。
神殿への不信感が強くなることは信仰心が消えるのだった。

そうなればどうなるか。

「聖女としての勤めを一刻も早く果たす様に伝えよ。国の為に尽くし祈るのだと…己に為に身を捧げたアンシー令嬢に少しでも罪悪感があるならば」

「そうですわ。メイデン子息の思いにも報いるべきですわ。大切な婚約者を身代わりにしたことを未だに悔いていると聞くではありませんか」

涙を浮かべながら告げるアンジェだったが、司祭は真っ青になる。

実際は一ミリたりとも悔やんでいないのだ。
それどころか体よく始末できたと喜び、社交界で触れ回っているのだ。

ようやくデブで醜い女から解放されたと。

挙句の果ては、役立たずが消えて良かったとも言う始末だ。


「アンシー家の祖先は我が国の守りの一族。その姫を差し出したのだからな」

「今でも時折胸がキリキリ痛みますわ。我が子を生贄にせざる得なかったアンシー辺境伯爵の胸中を思うと」

社交界で嫌われていたリリアーナがいなくなるぐらいどうと言う事はないと思っていたが、嫌っていたのは若い世代や、敵対する派閥の貴族ぐらいで、年配の貴族に中立側や、辺境地に住まう貴族からは好かれていた事を後で知り、この事がきっかけで彼等から睨まれ。

挙句の果て他国の貴賓からは蔑むような目を向けられることになった。

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