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第一章

20.乳母

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異様な光景だった。
竜帝陛下とその妃に対する暴行をする巨大なアシカ。


「ブハッ!何でお前がいるんだ」

「陛下、相変わらずの復活の早さですね!」


メイリンは突っ込まずいられる今日も鋭い突っ込みを入れながらも距離を保っている。


「いきなり帰って来て早々に僕のお嫁さんに何を…ひっ!」

文句を言うもアシカは目を光らせる。
つぶらな瞳が血の色に染まり、体から魔力が溢れ、情けなくもイサラは悲鳴を上げる。


「待て待て!お前の往復ビンタはダメ!死ぬから!」

「キュー…」


ずるずると距離を狭めで行くが濡れた体で体を引きずる為シーツは濡れ、部屋は生臭さで女官一同は必死に臭いのを我慢した。


「メイリン」

「耐えるのです。ここで鼻を抑えるなんて無礼ですわ」

「でっ…でも、耐えられません」

竜族は嗅覚も優れているので通常の何倍も匂いに敏感だったの耐えがたかった。


「うー…」

「白百合!」

「陛下…トドがいきなり襲って来たんです!往復ビンタをされて痛かったんです」

「されたの?」

「はい」


騒ぎの中目を覚ましたリリアーナは頬を押さえながらもまだ痛そうにしていた。

「ん?なんか生臭い」

「まぁ…相手が相手だから」


濡れたハンカチでリリアーナ頬を優しく抑える。

「痛いけど気持ちいい」

「くっ…僕のお嫁さんは今日も可愛い…うわぁ!」


惚気ようとしている時に首根っこを掴まれる。

「陛下ぁぁぁ!」

「シャー!!」

「わぁぁぁ!やめてぇぇぇ!」


平べったい手の何処に握る力があるのかは疑問があるが、しっかり握られている。


「ちょっと!陛下に何を…」

「やめろロッテンマリア!」


リリアーナが止めに入ろうとすると、標的を変えたかのように巨大アシカは睨みつける、またしても戦闘態勢になり、リリアーナに襲い掛かろうとした際にイサラは止めるように命じた。


「あの…ロッテンマリアさんって」

「僕の乳母で守役だ」

「でも、アシカですよね」


見るからに海に生息している海驢にしか見えない。

何で竜帝の乳母が別の種族なのだろうかと思うも、ロッテンマリアは再び往復ビンタをしようとする。

「白百合!」

また殴られると思ったが。

バシッ!

「秘儀!白刃取り!」

両手でロッテンマリアのビンタを防ぐ。


「「「おおお!」」」

再度ロッテンマリアは往復ビンタをするもすべて止めるリリアーナに一同は拍手を送ろうとするも、忘れていた。

ロッテンマリアの手は防いでいても尻尾の存在を忘れていた事に。


「シャー!」

「ぶほぉ!」

「白百合ぃぃ!!」


頭に激しい一撃が与えられてしまい、再び気絶するのだった。



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