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第四章若き王と明日への架け橋

閑話11招かざる客

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戴冠式が終わって一か月後。
未だにエリンデールの若き王の噂は世界中で騒がれていた。


食糧難、難民の受け入れに様々な外交を行い一年足らずで国を立て直すだけでなく他国との同盟を組んだ事で話題となっていたが、一番の話題は側近の人気だった。


通常国を動かす文官や役人は若くない。
保守的な考えがまだまだ根強いために年配の物が国を動かす事になっているがエリンデール王国では経歴、身分、性別、年齢は全く関係なかった。


特に階級がバラバラな王の側近だが、優秀さは素晴らしく新聞記者達が一人一人独占インタビューをしていた。


特に注目されていたのは若き宰相と、その宰相の秘書だった。



見出しにはこう書かれていた。



『新星!期待の二人』

『才色兼備のカップル』


見開きとなって写真に出ていたのは互いに微笑みある男女だった。




「ねぇ、あの新聞見ました?」

「ええ、私もびっくりしましたわ」


学園を卒業した貴族令嬢や、結婚した元令嬢は社交の場でも隣国の話で盛り上がっていた。


「でも、本当かしら?」

「だとしたら、一年前の断罪事件は?」

「馬鹿ね、どう考えてもでっち上げでしょう?新聞が真実を物語っているわ」


「そうね…こう考えると。フィルベルト様もステラ様の気の毒だわ」


噂の中心になっているのは言うまでもない。


「隣国の宰相様とステラ様が恋仲で、フィルベルト様も王女殿下と婚約されているとなればねぇ?」

「しかも、お二人は幼馴染。十年以上前から交流がありながらも…ねぇ?」


「当初は対等の立場ではありませんでしたし」


まるで彼女達は時代によって引き裂かれた悲恋の恋人だと言い始める。
その一方で一年前は同情的な声が上がったマリアンナを悪女弱張りする始末だった。


「隣国でお幸せになられて本当に良かった」

「やはり真っ当に生きている方を神様は見捨てられなかったのね」

「違うわ。運命の女神様が味方になってくださったのよ!これこそ真実の愛ではなくて!」


黄色い悲鳴をあげながら楽しそうに話すのだが…




「見て、あの方よ」

「見てはダメ」

「向こうに行きましょう」


楽しいおしゃべりを中断して三人はその場を去る。
他の令嬢も冷たい目で見ながらその場を去り、孤立する令嬢は視線に耐えていた。



「本当にどういう神経をしているのかしら」

「未だに社交場に出るなんて」


「マリアンナ嬢…」



誰も歓迎する事はない。
この場に置いて招かざる客状態だったマリアンナは耐え忍びながらも笑顔を作っていたのだった。




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