悪役令嬢と弟が相思相愛だったのでお邪魔虫は退場します!どうか末永くお幸せに!

ユウ

文字の大きさ
上 下
102 / 129
第三章雇われ国王物語

25我が君①~ナツメside

しおりを挟む




ずっと貴族が嫌いだった。
私の体にもその大嫌いな貴族の血が流れている。


だから社交界に出る事はしなく、部屋に籠っていた。
本を読みながら、外に出ずに一生を過ごそうと思ったが、あの日。


私はあの方の覚悟知った。

それはくだらない茶番劇の後だ。


「フィルベルト様!お考え直しください」


「悪いな。だが君達を巻き込みたくない」


卒業パーティーの途中で私はその場を抜けた後に国に帰る準備をしていた時に聞いてしまった。


「冤罪なのに…不貞行為を働いたのはマリアンナ様では」

「これ以上はダメだ。君達は公爵家に仕える身だ」


扉越しに聞こえたのは王太子殿下だった。
あの茶番劇で、自ら愚かにも婚約者である女を庇った。


馬鹿だと思った。
婚約者への情けの為に役目を放り出すのか。


本来ならば優秀なのに。
天才ではないが彼がどれだけ努力しているのか隣国のエリンデール王国にも噂が流れている。

なのに努力を無駄にして。


「私が彼女の気持ちに寄り添えなかった。こんな私は王に相応しくない。だが、王子でなくなっても私は国を愛している…派閥争いで民を苦しめてならない」

「悔しゅうございます」

「殿下…私達は」


国の為…


民の為。


その言葉に胸が痛んだ。


「私は君達のように心ある貴族がいる事を嬉しく思うよ。私よりも敵の少ないアルセウスと聡明なマリアンナが身分の壁を壊し、国を一つになしてくれることを願う」

「殿下ぁぁぁ」

「申し訳ありません」


どうして…



どうしてだ。



何故何時も。



『申し訳ありませんナツメ先生』



何時も優しい人が犠牲になる。


そしてずる賢い連中が得をする。


私はかつて愛した人がいた。
優しく頑張り屋の優しい少女で、里子に出されフルーデルト家の養女に迎えられたフレデリカ様。


義姉に虐げられ苦しみ続けていた。
それでも耐え続け、私はいつしか彼女に抱いては行けない感情を抱き、公爵様には解雇された。



「すまないが…これ以上は」

「はい」

「すまない」


私も自分の立場を理解していた。
だから当然のことではあったが、私が許せないのは。


「この度は愚妹がご迷惑を」

「マリアンナ、止めないか」

「いいえ、妹の不始末は私がお詫びしなくてはなりません。育ちの悪さ故に」


この女だった。
私は家庭教師として失態を犯した。

なのにこの女は悪いのは全てフレデリカ様で育ちの悪さをこれ見よがしに言っては馬鹿にして、お茶の席でもわざと彼女を外させるような行動をしていた。


本人曰く、彼女は立場が違うかららしいが。
ただの養女ならばまだ解る。

正式な公爵家の娘として迎えていないなら納得できただろうが、次期公爵家を継承する事が決まっているのイありえないのにこの女は!




しおりを挟む
感想 164

あなたにおすすめの小説

「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。  しかも、定番の悪役令嬢。 いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。  ですから婚約者の王子様。 私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。

実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います

榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。 なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね? 【ご報告】 書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m 発売日等は現在調整中です。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています

水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。 森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。 公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。 ◇画像はGirly Drop様からお借りしました ◆エール送ってくれた方ありがとうございます!

処理中です...