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第三章雇われ国王物語
25我が君①~ナツメside
しおりを挟むずっと貴族が嫌いだった。
私の体にもその大嫌いな貴族の血が流れている。
だから社交界に出る事はしなく、部屋に籠っていた。
本を読みながら、外に出ずに一生を過ごそうと思ったが、あの日。
私はあの方の覚悟知った。
それはくだらない茶番劇の後だ。
「フィルベルト様!お考え直しください」
「悪いな。だが君達を巻き込みたくない」
卒業パーティーの途中で私はその場を抜けた後に国に帰る準備をしていた時に聞いてしまった。
「冤罪なのに…不貞行為を働いたのはマリアンナ様では」
「これ以上はダメだ。君達は公爵家に仕える身だ」
扉越しに聞こえたのは王太子殿下だった。
あの茶番劇で、自ら愚かにも婚約者である女を庇った。
馬鹿だと思った。
婚約者への情けの為に役目を放り出すのか。
本来ならば優秀なのに。
天才ではないが彼がどれだけ努力しているのか隣国のエリンデール王国にも噂が流れている。
なのに努力を無駄にして。
「私が彼女の気持ちに寄り添えなかった。こんな私は王に相応しくない。だが、王子でなくなっても私は国を愛している…派閥争いで民を苦しめてならない」
「悔しゅうございます」
「殿下…私達は」
国の為…
民の為。
その言葉に胸が痛んだ。
「私は君達のように心ある貴族がいる事を嬉しく思うよ。私よりも敵の少ないアルセウスと聡明なマリアンナが身分の壁を壊し、国を一つになしてくれることを願う」
「殿下ぁぁぁ」
「申し訳ありません」
どうして…
どうしてだ。
何故何時も。
『申し訳ありませんナツメ先生』
何時も優しい人が犠牲になる。
そしてずる賢い連中が得をする。
私はかつて愛した人がいた。
優しく頑張り屋の優しい少女で、里子に出されフルーデルト家の養女に迎えられたフレデリカ様。
義姉に虐げられ苦しみ続けていた。
それでも耐え続け、私はいつしか彼女に抱いては行けない感情を抱き、公爵様には解雇された。
「すまないが…これ以上は」
「はい」
「すまない」
私も自分の立場を理解していた。
だから当然のことではあったが、私が許せないのは。
「この度は愚妹がご迷惑を」
「マリアンナ、止めないか」
「いいえ、妹の不始末は私がお詫びしなくてはなりません。育ちの悪さ故に」
この女だった。
私は家庭教師として失態を犯した。
なのにこの女は悪いのは全てフレデリカ様で育ちの悪さをこれ見よがしに言っては馬鹿にして、お茶の席でもわざと彼女を外させるような行動をしていた。
本人曰く、彼女は立場が違うかららしいが。
ただの養女ならばまだ解る。
正式な公爵家の娘として迎えていないなら納得できただろうが、次期公爵家を継承する事が決まっているのイありえないのにこの女は!
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