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第二章北方四島の絆

25行動

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メルシウス伯爵とはそれ以降手紙でやり取りを行った。
病状の悪化がしてから今の医師を主治医に招き入れたと聞く。


宮廷医師であり医局長の後任として入ったらしいが、治療法等をナージャに見せると不審な点が多いと聞かされる。


「どうにもきな臭いですわ」

「やっぱりか…」


治療法は薬を24時間投了して食事の制限をして外には極力出ないように指示し。
効き目が悪いので強い薬を投了していると聞くが、薬をポンポン変えることに違和感を感じる。


「カルテを預かったのですが、元より患っている病とここ二年で悪化した病状ですが…」

「確実な治療法はないが…」

「これ以上悪化させない方法はございます。ですが…」


精神的に弱っていると聞く。
生きる気力がないのでは対処ができない。


「どんな重病な患者も心から生きたいと思っていただかなくては」


「どうしたら良いか…難し問題です」


エグバートも頭を抱えている。
似たようなパターンでも回復した患者を診てきたことがあるエグバートからの助言は。


「その人の支えとなる品等を傍に置いたり、希望を持っていただくしかありません」


「ですが、そう簡単な事ではありませんわ」


エセリラ皇女の支え。
彼女の心を強くさせる物。


考えろ…


考えるんだ。



「そうだ。ラベンダーだ」



幼い頃に良く三人でラベンダー畑で走り回った。
体が弱いのにラベンダーを見ると元気になって魔法みたいだった。



「急いでラベンダーを集めてくれ!」

「ですが、この季節では…」

「待て、咲いている場所があるぞ」


一か所だけ、咲いている場所を聞かされ俺達はラベンダーを摘みに行くことにした。



「寒い!何だここは」

「ここだけ季節外れにラベンダーが咲くらしいのですが…崖を登らないとダメです」


崖の上に咲いているラベンダー。
品種が異なっているが、特殊なラベンダーであると聞かされる。


「あのブルーラベンダーと呼ばれております。解毒効果や自律神経を整える効果がありますが…危険ですし」

「よし行くぞ」

「お待ちください!」


レックが不在で助かった。
いたら絶対に反対されるだろうし。


「ブルーラベンダーは別名祈りの花と呼ばれています!簡単には行きません!」

「ラベンダーを守る妖精が侵入を試します」


「祈りの花なら余計に欲しい」


俺はエセリラ皇女を助けたい。


「これしかできなんだ!」

「フィルベルト様…」


病気を治す力も、傷ついた彼女を慰める言葉も。
天才的な頭脳も持ってない俺にできる事は少ないけど彼女にもう一度元気になって欲しい。


だって彼女は。


誰よりも祖国を、ジューリア陛下を愛していた。


だから俺は。


「無様であろうと構わない」


王都で言われた通り無様な王子かもしれない。

白馬の王子様にはなれないのだから。


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