27 / 129
第一章廃嫡と婚約解消
22私の王子様~ステラside⑩
しおりを挟む誰もが思っただろう。
今日のこの日でマリアンナ様を断罪すると。
むしろ、そうに違いないと思っていたはずだ。
なのにフィルベルト様はこれまでの事を深く詫びて頭を下げた後に廃嫡となる事を宣言した。
そしてマリアンナ様を庇うような言い方をされた。
婚約解消という形を取り、マリアンナ様に本当に愛する人と生きて欲しい事を伝えた。
「嘘…じゃあ全部私達の勘違い?」
「でも!」
周りは単純だった。
あれだけマリアンナ様を持ち上げておきながら。
今さら何よ。
マリアンナ様が正しいと決めつけて。
私はこの場で大人しくしていなくてはならないのは解っている。
でも耐えられない。
「フィルベルト様!」」
「すまない。最後まで君を苦しめて守ってやることもできない弱い男で」
「いいえ…いいえ!」
貴方は誰よりも強い人です。
そして誰よりも優しい人でした。
私の心の王子様でした。
石造の王子様はツバメがいたけど。
貴方は最後までお一人ですべてを守る事を決めたんですか?
あんな酷い事をされて。
きっとマリアンナ様は最初から貴方を追い落とするつもりだったのかもしれない。
アルセウス様も野心家だった。
事あるごとに自分の方が相応しいと思っていたのだろう。
そう発言しているのを耳にした。
なのに、そんな二人の幸福を最後まで祈るなんて。
きっと国の今後を思えばなのかもしれない。
ずっとご自分を卑下していたから。
だったら私は!
「せめて君だけでも…」
「私も一緒に」
お傍いたいんです。
だけど聞き入れてもらえなかった。
廃嫡になった後はどんな生活が待っているか解らない。
だから一緒にいれないのだと。
私を不幸にすると言われてしまい拒絶されてしまった。
その後卒業パーティーが終わった後、私はその場に立ち尽くす中、当事者でもあるマリアンナ様は何かをヒステリックに叫んでいた。
「何で…何でこんな事に」
「マリアンナ、どうしたんだ」
「こんなの違うわ。こんなのシナリオと違う!何でよ」
「マリアンナ、どうし…」
「触らないで!」
シナリオとは何の事を言っているのか、全く話が見えなかった。
ただ思うのは。
「マリアンナ様…私は貴女を許しません」
「なっ!」
「満足ですか。これが貴女の望みですか。お優しいフィルベルト様をご幼少の頃から裏切り続け、愛を踏みにじり続けた事を」
周りの視線が私に集まる。
本来ならば不敬罪だと言われるのでしょうけど。
「婚約者の弟君と浮気をするのは正しい道なんて知りませんでしたわ」
皮肉めいた言葉を伝え、勲章を投げた。
「汚らわしい…こんな汚い女認めない!」
私は生徒代表である証を投げ捨てそのまま出て行った。
国の為に仕えるなんてできるはずがない。
平気で人の思いを踏みにじっても心が痛まない人が王妃になる国なんて信じられない。
だから私は私の意思でフィルベルト様の元へ行く。
例え向かう果てが苦難の道でも。
61
お気に入りに追加
3,915
あなたにおすすめの小説
「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。
しかも、定番の悪役令嬢。
いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。
ですから婚約者の王子様。
私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。
実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います
榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。
なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね?
【ご報告】
書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m
発売日等は現在調整中です。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる