悪役令嬢と弟が相思相愛だったのでお邪魔虫は退場します!どうか末永くお幸せに!

ユウ

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第一章廃嫡と婚約解消

11新天地へ

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公爵家には父上と母上が話をつけると言ってくれたので俺は身一つで辺境地に行くことになる。



「なぁ、俺は追放の身になるのに何だよこれ」


「お見送りです」

「いや、ないだろ」

何で芸能人の出待ち状態になってんの?
おかしいだろ?


「馬車ももっと質素にしろよ」

「辺境地でも使えるように改良してもらいました。みすぼらしければ良いという物ではありません」


もういい。
言っても無駄だと思っているけど、せめて荷物は最低限にして欲しいんだけど。


「それよりもフィルベルト様、この荷物は?こちらの方が邪魔では?」

「何って、エレンフリークの領民に挨拶代わりに食料を」

「これ全部ですか」

「軽量化したぞ」


北の領地は十年前から食料不足だった。
寒さを防ぐ防寒具もなく、見た目が更けている領民が多いのは働き過ぎだった。


何より問題視されているのは粉ミルクだ。
辺境地では食料不足の為に粉ミルクの質が悪く乳児には悪影響がある。


「少ないがないよりマシだろ?後は薬草も」

「ハァー、その配慮をもっと別の場所に使ってください」


レックは本当に俺に対して手厳しいな。
まぁ、だからこそ信用しているし、野球で言うキャッチャーみたいなもんか。


いや、そうなると。


女房役って事か?


「レック、俺はそんな趣味はない」

「また変な事を考えているんじゃないでしょうね」

「え?あはは…」

声に出して言ったらまた何を言われるか解らなかった。


「それよりまだ出発しないのか」

「もう一人待ち人がいまして」


「待ち人?」


足音が聞こえる。


「フィルベルト様!」

「は?ステラ!」

何でステラがここにいるんだ?


「エヴァ、間に合ったか」

「少してこずりまして」

「どういうことだ!」


ステラと一緒にいるエヴァを見て誰の仕業か解った。


「フィルベルト様、私もご一緒にお連れください!」

「何を言っているんだ」

「私は元より寒い土地で生まれました。ですから北の領地でも問題ありません。何より私は…フィルベルト様のお傍にいたいんです!」



涙を溜めながらいじらしい態度だ。
これがヒロインというものなのか、それともステラ自身の魅力か。


だがここで許すわけには。


「いいではありませんの?」

「マルシェ!」

「一人増えても変わりませんわ。何より中々度胸のある方ですわ。すべてを失ったフィルベルト様について行くなんて」


俺が廃嫡になったと同時に手のひらを返した貴族は多い。
一緒にいても利益がないのだから当然だろう。

廃嫡になって北の辺境地に飛ばされたのなら待っているのは地獄だから。

なのにステラは全てを捨て俺と一緒に来ると言うのだから損得は一切ないのだろう。
元より利益で動くような女の子じゃない。


「連れて行ってあげたらどうです?」

「あのなぁー…」


俺以外は連れて行く気でいる。
後からちゃんと話して親元に返す事にしよう。



未成年だからな!


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