聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります!

ユウ

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149月食

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光が消え、月食が始まる。


「サーシャ」

「ええ」


月が欠けていく。
もうすぐ月が消えて、マリア様が。



周りが暗くなり明かりさえない中、何も見えないのに明かりがともる。


「これは…」

「光魔法だ」



小さな光が集まりマリア様の体を包み込む。


「魔法陣が二つ」

「正式な儀式だからか」

無理やり召喚術をしたときは魔法陣は一つだったと聞くけど今は二つ。


「マリア様!」

「サーシャ様、さとうならは言いませんから」


迷いのない笑顔だった。


「きっと会える。そう、そう信じています」


「はい…」


魂は何時か巡る。
もし私達の魂が強い繋がりがあるならまた会えるはず。


「友達です。貴女は私の大事な」

「はい、私の本当の友達はマリア様だけでした」


世界が異なる二人。
決して出会うことがなかったけど。


「マリア様との出会いは運命だと思います」


女性同士でおかしいかもしれないけど。


「私もそう思います」


きっとこの出会いが私達の未来を切り開いてくれたのかもしれない。


「また会いましょう」

「ええ、また」

別れの代わりにまた会えますように。


「ルミエル様…」


「マリア」

「出会えてよかった…私の王子様」


涙はなかった。
光がさらに強く包み込んだ末にマリア様はこの世界から消えた。



「これは…マリア様のリボン」

髪に結んでいたリボンだけを残していた。


「また逢う日まで大切にさせていただきます」


リボンを大切に握りしめながら私は祈った。


「女神、感謝します」


翻弄され、怒りを覚えたこともあったけど。
今は感謝している。


「また会えるだろうか」

「そんな弱気では困ります」

絶対に見つけて見せる。
今の時間を生きて、そしてまた再び新しい命を得ることがあれば。


私達はきっと巡り合えるはず。



「そうだな。私も信じている」

「はい!」



マリア様、ありがとうございます。


この世界に来てくださって。

そして多くの光をくださったことを。



「待っててくださいね」


空を見上げてそっと呟いた。
返事はなかったけど、きっとマリア様は微笑んでくれている。


そんな気がする。


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