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146消化された思い~ジャネットside
しおりを挟むずつと大嫌いだった。
私とは何もかも違うサーシャが大嫌い。
今でもやっぱり変わらない。
私は最低な事をしたけど、でも――。
「その石、私に預からせて」
「お姉様?」
「どういうことだ」
この石はサーシャの傍に置いておくべきではないかもしれない。
「私は仮にも元聖女、悪魔の依り代の選ばれた女よ」
「何をする気なの」
「お母様、私は王都を出ます」
「ジャネット!」
私の気持ちに折り合いをつけた答えだ。
「サーシャ、私はやっぱり貴女が大嫌いよ。もう顔も見たくない」
「何だと!」
「だってそうでしょう?冷遇されていると見せかけ、ずっと守られていた…私はずっと苦しみ続けて心から愛してくれた人は傍にいない」
こんなの八つ当たりかもしれない。
それでもねたむ心は消えないし、今更何もなかったように接することはできない。
「私が両親からの愛情も受けず、一人血を吐いて苦しんでいた時に貴女はのうのうと生きていた。社交界で私は一人だった」
「お姉様…」
「貴女達からしたら私は悪女のようだったでしょう」
だけど私は聖女になるしか生きる道はなかった。
「お祖母様だって苦しんでいたはずだわ。お母様は一方的にお祖母様を悪く言うけど…侯爵家を守る為に権力に執着したけど」
彼らからしたら私達は悪でサーシャ達は正義。
だから私は悪のままでいいわ。
「私は悪のまま…それは変わらない。ここで別れよ」
「お姉様…」
「この石と共に私は王都を離れるわ」
優しさもいらない。
情けも必要ないのだから。
私は石を手に取り私は背を向ける。
「お母様、私は自分の道は自分で…」
懐にしまっていたナイフを取り出す。
この長い髪も必要ない。
もう貴族令嬢ではないのだから。
「ジャネット・リシュフェールは死んだわ」
今日限りで私は何も持たないジャネットになる。
きっと私は何所に行っても受け要られられないだろうけど、それが償い。
一つ、一つ償いながら生きて行こう。
生きることが私の償いだから。
「ジャネット!」
「お母様、私を愛してくださってありがとうございます」
ただ最後に。
命がけで私に手を伸ばしてくれたことを心から感謝を。
本当に欲しかったのものを最後に手に入れることができたのだから。
きっと私は不幸ではない。
むしろ幸せなのかもしれない。
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