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143規格外
しおりを挟むもうだめかと思ったのだけど、ツルは私に襲い掛かることはなかった。
「は?」
「どうなっているのよ!何でサーシャにツルが…」
「ありえないよ」
最初こそじゃ私に襲い掛かろうとした黒い百合だったが百合の花が閉じている。
しかもツルはいそいそと逃げているではないか。
「なんか、サーシャ様から距離を取っていませんか」
「ああ…何故だ」
「規格外と思いましたけど。何故…」
皆さん揃って酷いですよ。
私が何をしでかしたか言いたげなのだけど。
「貴様!何をした!」
「いや、何もしてないけど」
「私の花が!」
黒い百合の花が完全に閉じてしまい、しかも枯れていく。
「まるでムーサですね」
「ちょっと!何呑気な事を言っているのよ…ありえないわ」
「アンタは本当にギャアギャあやかましいね。発情した犬か」
「誰がよ」
離れた場所でお姉様と婆様が言い合いをしている。
ツルに拘束された状態で元気だな。
「ああ…なんて忌々しいのだ」
「え?」
「貴様さえいなければ、貴様の存在で神話時代より私は肩身の狭い思いをした。地上でも依り代なくして力を得ることができなかったのは…貴様が私を封印した後に海底に沈めたせいだ」
「沈めた…」
もしや先代が?
でも手記では初代竜の姫はそんな酷い事をする人ではなかったはず。
「あー…」
「なるほど、からくりが…」
「解けたな」
マリア様と殿下とフレディーが納得した表情をしている。
お母様とお父様に至っては目が死んでいた。
「初代竜王の姫は封印した後に親切心で海に沈めたんだろう。海竜のいる竜宮城に」
「でしょうね。海の中で穏やかにと…そんなもん無理ですよ」
「悪魔と竜が仲良くだと?無理だろ…恐らく長い間海竜に睨まれた続けたのだろうな」
いや、そんなことを言われても。
「封印された後、どれだけ屈辱だったか解るか!」
「いや、知らない」
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でも、その今目の前にいるってことは。
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「その哀れな表情をするな!貴様は何度侮辱したら気が済むのだ!」
「何度って…」
「そう…すべての始まりはこの世に竜の姫が誕生したことで我らの野望が妨害され始めたのだ!」
それは悪魔と竜王の姫の戦いの始まりだった。
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