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134私の欲しいモノ~ジャネットside①
しおりを挟む――こんなの違う。
だって私は出来損ないのこれとは違うのだから。
誰からも愛され必要とされる存在で、ずっと無能だと言われて来た妹とは違うのだから。
『ジャネット、貴女は選ばれた存在です。貴女は優れていて当然なのです』
『サーシャは?』
幼いころ、聖女の力に目覚めてすぐの頃。
私にお祖母様は強くい言った。
『あんな出来損ないの名前を呼ぶのではありません。貴女とは違うのです。言葉をかけてはなりません。平民が貴族と違う人間であるように貴女とあの出来損ないは同じ場所にいてはいけません』
私は何も知らない頃からそういわれてきた。
『ジャネット!こんなこともできないのですか!』
『でも…』
『貴女は選ばれた存在です。できるまで部屋からでてはなりません!』
『どうして…サーシャは』
『黙りなさい!』
私が外に出たくてもお祖母様は許してもらえず、部屋に缶詰めになって勉強や淑女教育を徹底して行われた。
その傍らで。
『おかあさまぁ!』
『サーシャ、転びますよ』
『まったくお転婆だな』
笑いあう三人。
私はあの中に入ることもできず見ているだけ。
自分の部屋の窓から笑いあう家族を見ているしかできなかった。
そんな日々を過ごしていた私は選ばれた存在だから。
将来は聖女になり国を動かす存在になるのだから。
毎日のように言われ、両親も、サーシャも必要のないのだと言い聞かせた。
そうすることで自分の心を守り。
そして気づいたときには、サーシャが虐げられるのを見て気持ちよく感じた。
『所詮んは出来損ない。ジャネット、貴女はあれとは違うのです」
『当然ですわ』
私は選ばれた存在。
あんな何もない存在と同じのはずはない。
だから私はいつか雲の上の存在になり。
国を動かすのだと思っていた。
なのに、社交界で持てはやされればお手はやされるほど心は満たされることなく空しく感じた。
誰かも愛されていたはずなのに。
そんな私が欲しいと思った人がいた。
それがフレデリック・モニーク様だった。
けれど、私は聖女となると同時に未来の王妃になるのだ。
でも近い距離にいると思った。
私が声をかければきっと…
でも彼は私に微笑んでくれたことは一度もなかった。
名前を読んでくれることも手を握ってくれたことも一度もなかった。
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