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129娘への不安~サリアside
しおりを挟む突如サーシャの結婚式を召喚の儀式の前に執り行うこととなった。
その理由は、マリア様の為だということだ。
二人はどうあっても結ばれることはない。
この国の王太子殿下と異世界の少女では不可能に近しい。
この世界に魂が属していない。
だけど心だけは繋がらせてあげたいというサーシャの思いに教皇猊下は心を打たれたそうだ。
あの方は聖職者の鏡。
結婚の際に愛を誓いながらも貴族社会ではそんな誓いはないに等しい。
だからこそここまでの一途な愛に心を打たれたそうだ。
私も娘の成長に涙が流れたわ。
ここまで他者を思いやれる娘に育ってくれて。
モニーク家での生活が一回りも二回りもサーシャを成長させてくれた。
ただ心配がある。
「貴方」
「ジャネットの事だな」
「はい」
監視をつけ謹慎の身になっている。
一時は出家を試みたが、本人が本当の意味で反省しているならばいざ知らず。
今の状況で出家させれば修道院にも迷惑がかかる。
謹慎中に落ち着いてきてはいるけど、会話はほんどなく侍女達もなんともいえない表情だわ。
ただ暴力的な事はされていない。
「サーシャは、ジャネットを刺激しないようにしているようだが」
「はぁー…少しは落ち着いて来たと思いたいが」
そんな簡単な話じゃない。
聖女の地位を剥奪されて王太子殿下の婚約者でもなくなり周りから孤立しているジャネットに味方はもういない。
私達は親として最後の責任を取るつもりだわ。
サーシャが嫁いだら私達はすべての領地と地位を返上して慎ましやかに生きるつもりだったけど。
モニーク夫人がそれは逃げだと言われてしまった。
故に剥奪ではなく降格という形になった。
だけどいずれはすべての爵位を返上する予定だわ。
「侍女からちくいち報告は受けている。誰にも心許さずに鏡に向かって何を話しているようだが」
「ジャネットにこれ以上の温情は不要です。あの子の為にもなりません」
本来ならもっと重い罰を受けて当然だったが、ジャネットも被害者であること判断された。
罪人となる程までの罪として判断されなかったこと。
そして物心つく前から聖女の資格があった事で周りの大人に利用されたということもあり考慮されたが、私からすれば甘すぎると思っていた。
更生して欲しい。
その一方で無理なのではないか。
傲慢になってしまったジャネットはもう無理だと諦めている。
せめてサーシャの結婚式が終わるまでは何事もない事を祈るしかなかった。
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