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120隠し続けた思い~ルミエルside
しおりを挟むずっと心を持たないできた。
王太子という立場上、個人の感情をどうしても捨てなくてはならない。
「ルミエル…今だけは素直になれ」
「素直に?」
「そうだ。お前の心を今だけは」
そんなことを言われてもどうしろというんだ。
私の本心をマリアに伝えたところでどうなるというんだ。
「ルミエル、お前はマリア殿を愛しているんだろう」
「それは…」
「お前の気持ちはあの時に知った。マリア殿をモニーク領地に送った時」
あの時私はマリアを守り切れない。
だからこそマリアだけでも安全な場所にと思った。
その時既に私の思いは決まっていた。
「自分の立場が危ういのに…マリア殿だけは守りたかったんだろう」
「ああ…」
「お前がそこまでするなんてまずない…なのに愛する女性を泣かせ傷つけたままでいいのか」
「だったら…どうしろというんだ!」
私はあの時マリアに冷たい言葉を吐いたかもしれない。
でも、ああいうしかなかったし。
傷つけるつもりなんてなかったんだ。
「マリアに思いを告げてどうなる…さらに苦しめるのか」
「ルミエル…」
「私はマリアを愛している。できれば共にいたい…だがそんなことは許されない」
マリアは異世界の人間だ。
そして私はこの国の王太子であるのだから。
マリアには家族がいる。
待っている人もいるんだ、だから――!
「あー!もういいです!」
「サーシャ!」
「何がマリア様の為ですか!結局殿下は逃げているんです!マリア様と離れた後が辛いからでしょう!」
答えが見つからない迷路で悩んでいる私に逆切れするサーシャ嬢の目は竜が逆鱗に触れられた時の目だった。
「サーシャ嬢…ぐっ!」
「殿下、マリア様をズタズタに傷つけておいてこの期に及んで逃げる気ですか?だったらいっそうのことマリア様への愛を誓ったらどうです。その方が男らしいです…私だったらそうします」
「は?」
離れ離れになるのにそんなことできるはずが。
「異世界に行けたのですから、可能性はゼロじゃないでしょう?私だったら異世界の扉なんてぶち破ります」
そんな無茶苦茶なとも思ったが。
「軽くやりそうだな」
「安易に想像できる自分が怖いです」
フレディーと春麗はうんうんと頷いている。
そこは否定する所なのだが、竜と伝説の鳥を従えている時点でやりそうだ。
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