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118馬鹿王子
しおりを挟む突き刺さる視線。
巫女達の絶対零度の視線は今すぐにでも殺せそうだった。
まぁ、相手が一国の王子なので本気で殺すなんてことはしないけど、この場にいる全員が殿下を殺すのではないかと思った。
でも、弁護できない。
「ルミエル、お前に呆れて何も言えない」
「くっ…」
「もうすぐ別れだというのに、なんてことを」
「殿下、お馬鹿さんだったんですね」
私が言うのも何だけど馬鹿すぎるわ。
「マリア様がお可哀想です」
「あんまりですわ殿下!」
マリア様をズタズタに傷つけ泣かせた殿下を責める巫女達。
春麗に至っては既に殺しかねないな。
「いくら何でも酷すぎますわね。マリア様はきっとご自分は他人でしかなく殿下は厄介者を早々に強制送還をしたいと思っているでしょう。ご自分は殿下にとって何の価値もないと」
「そんなはずないだろう!」
「事実、そう思われております。この際殿下の感情などどうでもよいのです」
春麗。
私が言うのも何だけどね。
相手は一国の王子なんだけど。
「マリア様はただ一言言って欲しかったんです」
「何をだ」
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「え?」
だってそうでしょう?
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もう何で解らないの?
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だってあまりにもマリア様が不憫でならなかったから。
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