聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります!

ユウ

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110変化

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神殿から王宮に戻りってすぐ王都全体の結界が新しく張りなおされ国全体の結界も強度なものとなった。

そのおかげで名実ともにマリア様は真の聖女として認められた。
次は月食の日にすべての力を放出して、召喚の儀と同様に元の世界に帰れるようにしなくてはならない。


なのだだが…



「これは…」

「お嬢様」


ここ数日の体が少し軽く感じた。
体調も快調であったのだけど、翌朝起きたら。


「どうしよう」

「御髪が…」


鏡に映る自分の姿を見て驚いた。
これまで同年代の令嬢と異なり発育が遅かった私だが、身長が少し伸びて髪の毛がすごく伸びていた。


「どうなっているのかしら?」

「推測にすぎませんが・・おそらく女神の仕業では?」


仕業って…そんな悪い事をしたみたいに言うんだ?


「お嬢様が竜の姫君の魂を持つと女神がおおせでしたわね」

「うん」

「恐らく、これまでお嬢様の魔力は蛇口が絞められた状態だったのでしょう」


それはつまり、あの神殿で女神と対話した後に私の閉じられた魔力が開かれてしまったということになるのね。

「でもなぜ髪の毛が…」

「私もそこまでは存じませんが歴代の巫女様は皆髪が長いですから」

「そうなんだ…」

「どうしよう」

「とになく結います」

切ってしまいたいけど、春麗に猛反対されてしまった。


「最近ね、握力も強くなったの」

「お嬢様、グラスを木っ端みじんにしないでください」

「解っているんだけど」


また一つコップを割ってしまった。
力のコントロールが難しくて上手くいかないのだ。


本当に困ったな。



「サーシャ、どうしたんだ」

「髪が…」

「伸びたな」

「それで済ませるんですね」

「何か問題があるか?」


フレディーは私の伸びた髪に特に気にすることもなくそれどころか似合うと言って髪飾りをプレゼントしてくれた。


嬉しいのだけ…


なんというか。


「結婚式では君の髪を結って白い百合の花をつけて欲しいものだ」

「はい…」

結婚式か。
婚約式も終わったし、すべてが終わったら結婚式をする。


でもその時はマリア様は?
元の世界に帰ってしまってもう会えない。


かといって結婚式に出てから帰って欲しいとは言えるはずもない。


「どうしたんだ?」

「いえ、私達の結婚式…全部終わったらするんですね」

「そうだが…」

寂しいな。
元の世界に帰してあげたいと思っていたけど。

すごく悲しい。


マリア様との別れが。


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