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96恐怖の教皇~ルミエルside
しおりを挟む新たな結界敷かれた後。
これまで職務怠慢をしていた神殿関係者は追放された。
他にも王都内の神殿で役目を放棄していた聖職者は改めて調査をされることとなった。
これまで何度も彼らに関して疑念を抱いた巫女や修道女は訴えても聞き入れてもらえなかった。
しかし今回の失態続きにより再調査がかなった。
「殿下、お待ちください!」
「そうです。私達を追放とはどういうことです!」
長らく王都の神殿を任された聖職者がそろって辺境地に送られることとなった。
王都の暮らしよりも貧しく環境も酷い状況下でこれまで辺境伯爵家を馬鹿にして見下していたのだから、行きたくないだろう。
死刑宣告と言っても過言ではない。
「教皇猊下!」
「案ずる出ない。貴殿たちは大変優秀であるからな。王都は人員も十分故、貴殿達の力を十分発揮してくれればよい。あそこは貧しくその日のパン一つ食べるのも困難だ」
「そんな!」
「しかし聖職者はより厳しい環境にいてこそだ。貴殿も聖女に申していたではないか?」
「えっ…」
そう私は知っている。
強制的に異世界に召喚されたときに元の世界に帰りたいと嘆くマリアに何を言ったか。
「選ばれた以上はその身を投げ捨てて尽くすのが義務だそうだな」
「それは!」
「マリア殿は聖女となる覚悟を決められた。ならば聖職者も命を懸けて役目を全うしなくてはならぬ…任期は20年程度だ」
「そんな!」
かなり長い任期だ。
すべてが終わった後には引退している歳だ。
行ってみれば左遷で追放のようなものだ。
当然貴族としての身分は無くなるし。
「貧しい土地ゆえに、裕福な貴殿たちの財産で神殿を立て直してもらう。これまでそれだけの給料は支払われていたからな」
「お待ち下ださい!」
「ではよろしく頼むぞ」
教皇の表情は変わらない。
第三者から見れば慈悲深い笑顔に見えるが私は知っている。
「猊下の笑みが真っ黒です…」
「ああ、笑顔ながら怖いな」
声のトーンが何時もよりも低い。
笑っているけど目が笑っていないじゃないか!
辺境地で彼らは死ぬな。
肉体的な死ではなく精神的な死だが。
優しそうに見えて教皇は容赦がない。
横目で教皇を見てもシレっとしていた。
事実上追放となった聖職者達は反論しているが、教皇の決定が覆ることはなかった。
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