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95お芝居③
しおりを挟むそして現在に至るのだけど。
聖女の力を見せつけられた貴族派の貴族達は真っ青な表情をしていた。
「馬鹿な連中め」
「これで噂を少しでも消せますね」
「まだ完全とはいかないが彼らの狂言だと立証できるだろう」
異世界から召喚されたマリア様を利用できないと思った彼らは殿下に責任を擦り付けて別の聖女を用意した。
その所為で今は権力を失墜している状況だ。
「竜だ!」
「竜が祝福しているぞ」
「待て、もう一匹いるぞ」
「白い巨大な鳥だ」
オプションをつければもう疑いようはない。
竜達は今回の作戦で快く協力してくれた。
うんうん、いい感じだわ。
「いや、サーシャ。頷いているようだが、彼らは今にも」
「いうなフレディー」
とりあえずシナリオの半分は実行できて良かった。
「殿下」
「ああ、解っている」
合図を送り、殿下は再び皆の元で演説した。
「皆、聖女は最後の封印を行う。すべてが終わった後は女神のお言葉により彼女は異世界に帰るだろう。だが、忘れないでほしい…聖女が国を救うのではない。国を守るのは私達だ」
その言葉に民の歓声が上がる。
不満を抱くものもいるかもしれないけど、大半は賛同してくれている。
というか民の中にもサクラを忍ばせているので、ここで非難の声を上げれば暴動が起きる。
圧倒的に民の人数が多い中、どうなるかなんて明白だ。
「いい気味だな。あの顔は」
「おい…」
「精々悔しがればいいんだ」
殿下、楽しそうね。
これまで相当苦しめられていたのだから無理もないのだけど。
ふと周りを見ると、離れた場所にお父様とお母様がいた。
本来ならもっと近くにいるはずだけど、事情が事情だけに国民に紛れているのが解った。
お姉様の姿はない。
当然かもしれないけど、お姉様がこの場にいれば暴行を受けるだろう。
二人を見ながら少しだけ気落ちする私にフレディーが手を握ってくれた。
「大丈夫だ。サーシャ」
「はい」
言葉に出さなくてもわかる。
私の憂いを感じ取ってくれているフレディーには感謝しかない。
本当に果報者だ。
私には優しい婚約者だけじゃない。
素敵な仲間が沢山いる。
恵まれ過ぎているかもしれない。
「試練はこれからだ」
「はい」
最後の神殿の封印を解かなくてはならないのだから。
その為にも頑張らないと!
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