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88母として~サリアside①
しおりを挟むジャネットが聖女の資格を剝奪される少し前の事。
モニーク家から火急で手紙が届いていた。
それは、遠くない未来にジャネットが大半の魔力を失うだろうとのこと。
魔力とは永遠にあるものではない。
ふとしたきっかけに消失することは少なくない。
特に光魔法は心に反応し、女神が与える聖なる力故に闇に飲まれたらその力は消えるのだから。
光魔法とはそれ程デリケートだった。
他者を思いやり、愛を持てば癒しの力となるが。
その愛情がなく欲望の心では祈りの力も結界魔法も浄化もできないのだから。
一部の人間はくだらないというけど、事実なのだから。
義母は私が嫁いだころには全く魔力がなかった。
その理由は衰え課と思っていたけど、実際は違ったのだと今になってわかる。
義母は身分の低い人を人と思っていない。
権力に執着するあまりに魔力をすべて失ってしまったのだ。
ジャネットも心を病み、自分への愛しかなかった。
「サリア、大丈夫か」
「ええ」
義母を思い出しながらもモニーク夫人からの手紙を読んでため息をつく。
「天も無情な事をなさるわ」
「これは自分で選んだことだ。ジャネット自信が…」
義母の教育は歪んでいると思うのは私の傲慢ね。
あの方一人の責任じゃない。
様々な悪い条件がそろい過ぎた。
「聖女の資格を奪われた後にあの子はどうなるか」
「邸にて反省させ、後に辺境地に送る。あの子の安全を守るにはそれしかない」
「その前に反省をさせなくてはなりません」
我が子可愛いさに、役目を放棄するななんて許されない。
「モニーク夫人が王都に」
「何から何まで申し訳ないな」
「だけど、これが私達の最後の奉公になるでしょうね」
手紙にはジャネットが聖女の資格を剥奪された後に、これまでジャネットを祭り上げていた貴族達がまた馬鹿な事を考えないともいえない。
その為に対策をしなくてはならない。
「すべてが終わったら私は責任を取るつもりだ」
「貴方…」
「こうなった責任は私達にもある」
私達が強引な手を使ってでも義母から取り戻せばよかった。
だけど当時の私達にはできなくて、義母が亡くなった時は既にジャネットは傲慢な性格になり私達の声に耳を傾けることはできなくなっていた。
周りに甘い言葉を囁く者の言葉だけしか聞けなくなっていた。
「だが、最悪の状態ではない」
「ええ」
悪い状況であるのは確かだけど。
まだ取り返しのつかない状況ではないのだから。
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