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87規格外の戦力
しおりを挟む辺境地から海は繋がっている。
言い方を変えれば障害物が少なく陸路で行くよりもずっと早い。
空から行くのが一番時間効率が良いけど。
でも、その分目立つので私達は海底から神殿を目指し、尚且つ二手に別れて翼竜達には空から違うルートで待機してもらったのだ。
「魔物が暴れないように空から睨んでもらって正解でした」
「ええ、おかげで馬鹿な真似をする馬鹿大臣を拘束できました」
「そっ、そうか」
お姉様を利用して国盗りを考えていた貴族派は誰が聖女になっても良かった。
殿下の失脚を狙い、尚且つ聖女を自分の操り人形に出来ればいいと思い込んでいたのだろう。
思えばお姉様もその欲望の渦に巻き込まれてしまったのね。
「サーシャ嬢、君には…」
「謝罪はいただけませんわ」
「しかし!」
本当に律儀な人。
そして責任感が強すぎてまっすぐな人。
お姉様に対してもこれぐらいまっすぐにぶつかっていたらとも思ったけど、お姉様は貴族絶対主義の考えを持っていたぁら難しい。
いや、もしかしたら私も同じ考えを持っていたのかもしれない。
だって私は、そうした世界から隔離されて生きてきたのだから。
「私も無知でした。殿下がここまで追い込まれている原因は」
「それ以上は言ってはダメだ」
「フレディー」
私の手を掴み首を横に振る。
「君自身を否定してはダメだ」
「そうですわ。旦那様、奥様を否定するお言葉です」
解っている。
でも、すぐにはいそうですかとはいかない。
「ジャネット嬢は不幸だったのかもしれないな」
「不幸…ですか」
「ああ、本当の意味で暖かい優しさに包まれたことはないのだろう」
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それに聖女という危うい立場と派閥の関係もあった。
対する私はどうだろうか。
優しい婚約者に優しいお姑様に恵まれていた。
恵まれ過ぎていた。
だからと言ってお姉様に同情することはできない。
だって、その手を跳ねのけたのはお姉様自身だから。
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