聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります!

ユウ

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80失墜した権力~ジャネットside①

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私の魔力が暴走した後、謹慎処分を受け軟禁状態となった。


「何故…」

「解らないのか。お前は隣国の襄王陛下の親族に怪我を負わせたのだぞ」

「えっ…」

「幸いにも怪我がマリア殿が治療してくれたが、加害者であるお前は詫びもせずに責任を取らされた殿下は廃嫡となるだろう」

「そんな…じゃあ私は王太子妃になれないなら意味がないわ」

「ジャネット…貴女は」


私はこれまで王太子妃になることを夢見て頑張ってきたのに。

「早々に婚約破棄を…」

「いい加減にしなさい!」


乾いた音が響いた。
頬に痛みを感じて一瞬何が起きたか解らなかった。


「何をなさるのお母様!私の頬を殴るなんて…」

「貴女は本当に人の心を無くしたのね。安心なさい、既に婚約は破棄となっているわ」

「え?」

既に婚約破棄になっている?

「マリア様が召喚される少し前から王妃陛下より婚約解消を願われていたわ。それでも殿下は保留にしてくださったのよ…貴女に情けをかけて」

「この私に情け?何所まで侮辱すれば気が…」

「お前は何様だ。どれだけ殿下に無礼を働いたかわかるか。フレデリック殿にも無礼を働き…それでもお二人は寛大な心で許してくださったんだ」

「何を…」


殿下は私に対してずっと冷たかった。
フレディー様に関してはあの方は私に好意を持っていたはずよ。

「王太子殿下の婚約者候補なので邪険にできなかったのよ。正式な婚約者になった時に困るでしょうし」

「正式…」

「ええ、貴女との婚約は口約束だもの」

正式な婚約じゃない?
そんなのありえないわ。

だって…


「お前の素行の悪さを危惧した結果だ」

「嘘よ…そんなの!」

「王妃陛下は、サーシャとフレデリック殿の婚約が正式になったのであれば、これ以上我が家との繋がりは不要だとの事だ」

「そっ…そんな!」


サーシャは我が家の恥さらし。
外にお嫁に出したのは邪魔だからじゃないの?


「モニーク夫人は元は王家の血筋をお持ちだし、ルミエル様とは従兄だもの」

「既にモニーク領地にて素晴らしい功績を残しているサーシャをモニーク夫人は手放さないだろう。本来ならお前の行動で我が侯爵家は没落してもおかしくない」

「何で…私は!」

「貴女は多くの貴族から敵視されているわ。過去に貴女が侮辱した子爵家の令嬢は王妃陛下のお傍付き侍女のご息女よ!」

「お前がみすぼらしいと馬鹿にしたドレスは王妃陛下より賜ったドレスだ」

「そっ…そんなの知らなかったのよ」

「知らないから許されると?これまでサーシャに言った言葉だわ」

違う。
私の言ったのとは意味が違うのに。


「お前はもう王宮に行くことはない。謹慎が解ければ邸に帰るのだから」


なのに、お父様の言葉は私を更に追い込んでいった。



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