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76悲しい決断
しおりを挟むマリア様に会える日をずっと心待ちにしていた。
でも私はこんなことを望んだんじゃない。
なのにどうしてこんなことになったのでしょうか、神様。
「ひっぐ…ひっぐ!」
「マリア様」
転移魔法でマリア様が送られた後、私達はが出迎えたのだけど。
様子がおかしかった。
転移魔法は通常術者と一緒であるのが条件だ。
しかし術者がいない状況で転移魔法を使う時がある。
火急の時だ。
一人を転移させるよりも一人の方が早いのだ。
その代わり、術者の負担と転移されてる側もリスクが伴う。
「ルミエルは…ルミエルは何所だ?」
「殿下は王宮に」
「は?」
どういうことなの?
殿下も一緒にこちらに来られると聞かされていたのに。
現在王宮では聖女の不始末を殿下の責任にして廃嫡を迫ろうとしている貴族派と神官がいる。
これまで強引な政治ができなかったのは殿下のおかげだった。
そのうえ辺境地の貴族は王家に忠誠を誓い、後の王となる殿下を信頼していた。
それが気に入らないというのは聞いていたけど。
「ジャネット様がこの度、隣国の王家に親族になる令嬢に怪我を負わせたんです」
「どこまでも迷惑なことを。マリア殿安全を一番に考えたのは解るが!」
「きっと責任を感じていたんですね」
殿下はずっとマリア様に罪悪感を感じていた。
異世界から無理やり召喚され、その後も酷い扱いを受け手きたのに手のひら返すような真似をされたのだから。
「殿下は、マリア様を傷つけたくない…でも守り切れなくて申し訳なく思って…それで」
「私を無理やり召喚したのは殿下じゃない!なのに…何所まで馬鹿なの?何で私に言わないの…助けてくれって!手を貸してくれって!」
「マリア殿…」
「そしたら私は!」
聖女になりたくない。
でも殿下をお助けしたいという気持ちは強くて。
マリア様は殿下が好きなんだ。
「私…どうしたら」
「マリア様はどうしたいですか?」
まずはできるかできないかではなくどうしたいかだ。
「正直、今王宮に戻ってもマリア様には何もできないと思います。むしろお荷物です」
「サーシャ…もう少しオブラートに」
「でも事実です。聖女の力に目覚めたマリア様をこれ以上守きれなかったから転移魔法を使われたと思います」
この状況で優しい言葉は不要だ。
むしろマリア様に優しい言葉をかけるのは酷だった。
「これから殿下の立場はどんどん厳しくなります」
「そうだな…最悪の場合」
考えたくないけど、今できることはあまりにも少ないのだ。
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