聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります!

ユウ

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75王太子の選択~ルミエルside②

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タイミングとしては悪くなかった。
サーシャ嬢の思い付きであったが、もとよりモニーク家で保護してもらいたいと頼み込んでいた。

モニーク伯爵夫人は面倒見がよく懐が深い。
当初からマリアの立場をおもんばかってくれていたので力になってくれるはずだ。


「マリア、すぐに準備をしてくれ。目立たないように王宮を出てモニーク領に」

「待ってください!こんな時に…当初は三か月後だと!」


そうだ。
本当なら表向きは視察ということにしてマリアをモニーク家に連れて行き、サーシャ嬢と交流してもらうはずだった。


二人は手紙のやり取りしかしていないが、本当に仲が良かった。
だから直接会ってもっと仲良くなればと思ったが、こんな形になるとは。


「それに、王宮で殿下の失脚を狙う人もいます!今私が!」

「君が気にしなくてもいい。それに君が元の世界に帰れるかもしれない方法が見つかった」

「え?」

「まだ確実ではないが…モニーク家に行けば確実に帰ることができる。それに王都は今危ない」


結界が壊れ、王都の近くの領地が影響を受けている。
宮廷貴族がこのままでは何をするか解らない。

幸いにもマリアは聖女として発表されていない。
ジャネット嬢に関しては良くないうわさが流れようとも直接手を出すことはできない。


侯爵令嬢だからな。


「本当にすまなかった」

「殿下…」

「私達の問題に巻き込み、辛い思いをさせてしまって」


マリアは拉致され軟禁されたも同じだ。
私を恨んでいてもおかしくないのに北の結界維持をしてくれて、これ以上何を望めようか。


「私は君に会えてよかった。君に勇気をもらった」


絶望的な状況下でも強かに生きようとするマリアに私は教わった。
どんな時も賢く立ち回り最善の道を探すこと。


「そんな…お別れのような」

「別れなんだ」


私は恐らく王太子の座を失うかもしれない。
ジャネット嬢の責任を私が代わりに取らなくてはならない。


婚約者の不始末は私の不始末。
候補といえど関係ないなんて言えるはずもない。



「ありがとうマリア」

「嫌です…こんな状況でいけるわけない。行きません!」


「巫女達、転移魔法の準備は」

「はい、整っています」


強引だが、マリアを無理やりにでもモニーク領に送るために私の魔力で送る。


「さようならマリア」

「嫌です!殿下…待って」

「マリア様、どうかお元気で」

巫女に無理やり魔法陣の中に入れ、私はモニーク領に送った。



「フレディーには私も行くと言ったから怒られるな」

苦笑しながら私が行く先の修羅の道を進んだ。

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