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71胸騒ぎ
しおりを挟むその日、朝から違和感を覚えていた。
「どうしたんだサーシャ?食欲がないのか?」
「え?」
「今日はパンを五個しか食べていな」
お皿にはまだ手付かずのパンが沢山だった。
いつもならすでにお代わりを三回しているのだけどいつも程の食欲がない。
「どうしたんだ」
「何か心配事でも?」
フレディーと春麗をこれ以上心配させてはいけないと思いながら紅茶を飲もうとした時だ。
「あれ?カップの取っ手が」
「サーシャ、怪我をしていないか?」
指に怪我はないかと心配されるけど、怪我はしてない。
なのだけど、どうしていきなり。
「なんだか嫌な感じ。いきなり取っ手が…」
「妙だな。このカップは母上が王族お抱えの職人に特注させた品だ」
「フレデリック様…そのような品を」
春麗は破片を片付ける手が止まった。
真っ青だな。
「母上が折角の祝いにと、陛下を脅し…いや、お願いをして」
「今脅しと…」
「春麗、いつもの事です。陛下は奥方様に無理難題をお願いをしているのですから。その見返りに多少の脅迫、脅しは当然です」
「クレラ、もう少しオブラートに包んでくれ。事実であるが」
「説明をしますと、陛下と奥様は幼馴染でもあります」
そんな関係性があるとは思わなかったわ。
でも本当にコネクションが半端ないけど、辺境地の貴族夫人のなせる業なのかしら?
「故におかしいんだ」
「そうですね。まずこのカップの取っ手はそう簡単に取れることはありません…もしや何か悪い知らせでは」
「王都では今、次から次へと問題が起きている」
「聞くに堪えない内容です」
春麗は常に王都の情報をお父様に伝えて貰っているとらしいけど。
「結界の二つが壊れて、王都はかなり危険な状態とか」
「だが北の結界はマリア殿が守っている。故にまだどうになかなっている…しかし二つの結界が壊されている以上は」
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もし、精霊の怒りを買ってしまったらお姉様はどうなるのだろうか。
その不安を抱く中、最悪の知らせが来た。
「大変ですお嬢様!ジャネット様が…」
「え?」
「王宮内で力を暴走させたそうです」
不安が現実となってしまった。
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