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67暴走~ジャネットside①
しおりを挟むどんなに祈りを捧げても結界を強化できない。
私の任された区域は結界が日に日に弱くなり、現在は魔物が暴走していた。
魔物たちは魔族がいれば大人しくなる。
反対に、魔族がいなければ好き勝手するようになる。
元から人間を襲わない魔物達も最近は狂暴化し、一番最悪な事態は精霊が土地を離れる事だ。
精霊が私の担当区域から離れ、よりもよってあの女が任されている区域に加護を与えている可能性があると言われて絶した。
「何でよ!私の元から離れるなんて!」
「相変わらず騒々しいな」
「ランティス!」
風の精霊、ランティスが現れた。
「どうして王宮に」
「お前に用はない。ただ貴様の紛い物の結界は迷惑だと助言に来てやった」
「そんなはずないわ!だって…」
「ではどうして東西南北の内の東と南の結界は壊れた。おかげで妖精族は逃げまどい花が咲かずに大変な事になっている。貴様は契約を破る気か」
「違う!私は悪くない」
「身の程を弁えないからこうなる」
私は何も悪いことはしていないわ。
必死で毎日祈っているのにどうして解ってくれないの?
「今の前の顔を見て、民は聖女と言うか?」
「何を」
「祈る意味すら忘れているな。お前はもう聖女となることはできない」
「嘘よ!」
私こそが聖女なのよ。
あんな異世界の女が聖女だなんてありえない。
「聖なる花は正直だ」
「種さえあれば私は!」
「どうだがな。何も見えていない貴様にはもう無理だ」
「待って!」
大きな翼を広げて私の元から消えるランティス。
風の精霊は私を見限った。
元から彼は私を認めていなかったが、仕方なく私に助言をしていただけ。
「何で…どうして誰も私を!」
誰も私を助けてくれないの?
そんな思いを抱く中、事態は悪い方向に進んでいた。
「聞きまして?結界の件」
「ええ、二つの結界が壊れ、西の結界も時間の問題とか」
「でも北の結界は強度な物だそうで」
「例の少女が担当しているそうですわよ」
社交界では結界の話で持ちきりだった。
私が担当している区域では魔物が襲い、町や村を襲い続けた被害者が続出している。
「あれだけ偉そうなことを言いながら」
「やはり偽りだったのでは」
違う…違う!
「そう言えばサーシャ様が北の領地で薔薇を咲かせたそうですわ」
北の領地で薔薇ですって?
ありえない。
薔薇は北の領地にはもう五百年も咲いていないのよ。
「出来損ないと言われていた妹君」
「逆だったのではなくて?出来損ないは姉君だったのでは?」
止めて…
止めてよ!
心がざわつく。
怒りが増幅していく。
私の中の怒りが止まらないでいた。
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