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66純白の花

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球根が眼を出し、花を咲かせた。


「すごく綺麗」

「ああ、とても綺麗だ」


純白の白百合。
何度見ても本当に綺麗だ。

気品があって穢れない花。
聖書では天使が聖女に捧げた花としても描かれ、他にもメッセージを送る時も百合の花を使われたと言われているのだ。



「とても美しいサーシャ」

「はい?」

「君にはやはり百合が似合うな」

頭の中が真っ白になった。


「フレデリック様、思ったまま口にするのはどうかと」

「思った事を口にしただけだ。何か問題があるか?」

「これだから朴念仁は」


クレラが眉を顰めながら告げる。


美しいって百合の花の事じゃなかったの!


「君には穢れの無い白の百合が一番似合うな」

「ご馳走様ですわね」

「春麗。ついでに換気をしてください」


時々思う。
フレディーは爆弾を投下する。

私も空気を読めないと言われるけど、フレディーの方が酷いと思う。


「私よりもクレラの方が美人だと思うけど」

「姫様、男性の美醜はぞれぞれです。私の場合は中身が色々問題があります」


女性なのに竜騎士で自立していて剣術の腕もすごくて美人で頭も良いのに。


「私は男性受けしませんので。男よりも腕っぷしに自信がありますから」

「同感ですね。殿方の好む女性から程遠い自覚は私もあります」


二人は似通う部分がある。
最近は休日に二人でバードウォッチングや狩りに出かける程だ。


「じゃあ私は?」


「姫様は竜騎士に好かれやすいタイプですわ。後は騎士や冒険家も」

「成程」


どうしてここで春麗はうんうんと頷いているのか。


「しかしこの白い百合は随分と潤いがあるな」

「そうなんですか?」

「ああ、しかもここまで大きな花が咲くのは稀だ」


私も朝顔は何度が育てたけど、百合は初めてだった。


「そうだ、日記に書かないと」

「百合観察日記だな」


交換ノートに百合の花が咲いた事を書いていると三人にしみじみ言われてしまった。


「今度はこの種を送ってみようかな」

「今度は何の種だ」

「解りません。お楽しみ種」


実はこの種はロールがお散歩中に拾って来たものだ。
今度はどんな花が咲くのかワクワクと心をときめかせていたのだが、数日後。



モニーク家の庭園に薔薇が咲き誇り、領地内にも薔薇が咲き始めるのだった。



「春が来ない我が領地に薔薇が」

「なんて事なのでしょう」

「良かったですね」


私はこの時、モニーク地に薔薇が咲くのがどれ程の事か知らずにいた。
その後続くように蓮華畑に花が咲き蜜を取ることが叶い、甘味料として売り出す事が出来たそうだ。


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