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63不測の事態~ジャネットside①
しおりを挟む最近不調でどんなに祈っても光魔法を発動されなかった。
先代聖女の結果はどんどん緩み、国内の各地でその影響を受けていた。
王都付近の貴族達は震災で作物が育たなかったり、震災の影響をもろに起きていた。
先日は大雨に雷が落ちた先で大火事になり、火を消そうにも負傷者を多く出してしまった。
癒しの力を使おうにも上手く発動できない。
ポーションの原材料となる薬草が一度に燃えてしまって教会に助けを求める人が一度に増える始末だ。
「ジャネット嬢、状況は解っているな」
「解ってます」
「君の不調は解っている。せめて癒しの魔法だけでも」
「はい…」
言葉では私を責めていない。
周りはそれを殿下の優しさだとか、私を愛していると言うけど。
本当は違う。
「やはり殿下はジャネット様を気遣われているのですわ」
「そうですわ。無理をしなくて良い」
侍女は慰めようとしているのか、それとも本心なのか。
多分深く考えていないわ。
「それに最近はあの平民の娘も部屋に引っ込んでいるようで、最近は離宮に移ったとか」
「いい気味ですわ」
「聖女の名をかたる罪人ですものね」
私が聖女の仕事を全て行うから表に出て来ないように命じて部屋に引きこもって居ろと命じたのだ。
そうすれば聖女として活躍の場は無くなる。
そもそも異世界の女は聖女ではないのだからこの言い回しはおかしいだろうけど。
だけど、焦るあまり魔力を間違った方法で使ってしまい結界に亀裂を作ってしまった。
中央神殿を中心に東西南北の結界を乱してしまった。
その所為でまだ安定している地まで影響を及ぼしてしまった。
既に四つの地の二つの地は結界が崩壊してしまった状態だ。
新しく結界を敷く必要があるけど、そんな真似はできるわけがない。
「初代聖女はどうやって結界を作り出したのよ」
王立図書館にもそんなものは載っていない。
古語で書かれた本なんて読める人間はいないのだから。
結界を生み出したのは初代聖女と、かつて竜王の姫と呼ばれた少女だと聞く。
でも、ほとんどおとぎ話に近い伝説だった。
「大体、聖女の手記の文字が古語のままなのよ!解読できないじゃない」
頼みの綱は聖女の手記だったけど清の国の文字が混ざっている。
解読が難しく見た事がない文字に、滲んでいて解読不可能になっている。
私がこんなに苦しんでいるのに、傍付きの侍女はのほほんとしている。
「ジャネット様、大丈夫ですわ」
「そうですわ」
いい加減な事を言わないでよ!
言葉に出したくても言う事も出来ずにいた。
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