聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります!

ユウ

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60哀れな人種

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手紙の内容を見ても自分の境遇を愚痴る事はない。
でも、ずっと我慢していたら心が壊れてしまうんじゃないだろうか。


お姉様は後ろ盾がある。
侯爵令嬢と言う立場に王太子殿下の婚約者。


でもマリア様は?
もしかしたら苛めに合ってたら。


「フレディー様!ちょっと王宮に行ってきます!」

「いや、ちょっとトイレ行ってきますみたいなノリは何だ」

「もう少しましな例えをなさい」


だってこのままじゃマリア様が苛めに。
でも、どうしよう。

予告なしに行ったらダメだし。
ああ、こういう時にマナーが煩わしく感じる。


「お嬢様、また変な勘違いをなさっていますわね。まぁ半分は勘違いではないでしょうが」

「マリア様をお助けしないと…もしかしたら酷い苛めに」

「そう申されますが、社交界に出るよいう事は弱い者は苛められて当然です」

「強い者は弱い者を守るのは自然界の掟じゃないの?」

「それは高等種族、魔族の掟ですわよ」

シュリ様の言葉に落ち込む。
人間界では弱い者を叩き潰すのが決まりなの?

でもお母様は領地では助け合って生きていると‥


「何で!そんなのノブレス・オブリージュじゃない!」

「サーシャ」

「守れるのに、助けてあげられるのに…そんなのおかしいわ」


何のための階級なの?
叩く必要のない人を叩いて恨みが増えるだけだわ。


「竜は高潔な一族。無暗に戦わない…ですが人間は愚かなのです」

「サーシャ、君は社交界を知らない。恐らく人との関りも少なすぎた…だから解らない」

「私は変なんですか。頭がおかしいから解らないんですか」


ずっと社交界に出ることもできず。
聖女の妹が頭の出来が悪いという理由で隔離されていた。


「そうではありませんわ。社交界は魔の巣窟鵜のようなもの」

「君がおかしんじゃない。ただ、弱い者を叩く事が良いわけではないが叩くには理由があるという事だ」

「難しいです」

「これから学べばよいのです。ただそんな輩の半分は、怖いのでしょうね」


怖い?
自分達より弱い立場の人が何故?


「下級貴族は高位貴族よりもコネクションが合ったり自由です。柔軟な考えを持つ方も多く、狭い世界しか知らない者は怯える」

「人は、自分と異なる物に恐怖を感じる。我ら竜騎士もその対象だ」


「こんなに素敵な竜さんも?」

「ギャウ!」

「ロール、貴方も素敵なのにね」

「ギャウ!」


首を伸ばして私に賛同してくれる。
本当に優しいのに。

「可哀想ですね」

こんなに素敵な生き物を知らない。
物語の中でしか竜さん達をしらないのは可哀想でしかないと思った。

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