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59届いた手紙
しおりを挟む手紙を送って二週間。
マリア様から手紙が届いた。
「わぁ!手紙だ」
「良かったなサーシャ」
「はい、お友達になってくださると書いてます。初めてのお友達第一号です!」
嬉しさのあまりはしゃいでしまった。
「随分と楽しそうですね」
「あっ…申し訳ありません」
私が興奮し過ぎたせいで、公務中なのに。
「失礼しましたモニーク伯爵夫人…」
「行けませんわね」
「はい…」
「そうではなくていつまでもそんな他人行儀な」
「母上…」
他人行儀と言われるたけど、まだ婚約したばかりで正式に婚約式もしていない状態だ。
失礼がない様にしたのだけど。
「そんな他人行儀な呼び方は好きませんわ」
「無理を言わないでください母上」
「どうせもうすぐ親子になるのですから今からママンと呼んですよ」
「そっちですか!」
私は王都の習わしを忠実に守ってきたつもりだけどモニーク家では随分と砕けている。
「そうね、貴女にとって母君はサリア様お一人ですもの。でも私の事も母として思ってくれたら嬉しいですわ。せめてシュリと呼んでくださる?」
「母の愛称だ」
「あっ…あの、失礼では」
「大丈夫ですわ。そんな輩は握りつぶしますから」
「母上」
本人が良いと言っているならいいのだろうか。
「はいシュリ様」
「嬉しいわ。それで何のお話をしてましたの?」
マリア様の話をしていいのだろうか?
ちらりとフレディーを見ると大丈夫だと言ってくれているようだった。
「マリア様の事で」
「異世界から拉致して来た気の毒な少女ですね」
「シュリ様も聖女に対しては反対なのですか?」
「聖女を否定する気はないのだけど、異世界の少女を無理矢理誘拐して聖女にする行為は反対です」
言い方がキツイ。
配慮も何もないわ。
普段優しい人なのに。
「失礼ながら春麗も同感ですわ」
「春麗まで」
「聖女との言う存在にすべてを任せ何もかも押し付ける行為が間違いだ。そもそも聖職者は政治に深く介入してはならないのです。なのに過去に貴族令嬢から選ばれた聖女は政治に口出しをしました」
「そうだったんですね」
「過去に聖職者が口を出して問題になりました。今の教皇猊下はそのような事はありませんが…司祭を始めたとしたなんちゃって聖職者が」
「なんちゃって…」
言い回しが酷い。
酷すぎるけど、余程嫌いなんだと思った。
「私は聖女と言う存在が国を混乱に招くと思っていますが、マリア様はとても聡明な方と思っていますわ」
「そうですか…マリア様が心配です」
手紙では気丈に振舞っているように見えるけど、味方はいるのだろうか。
殿下は味方でもお姉様と対立関係にあるなら難しいのではないかと心配してしまう。
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