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54異世界の少女~マリアside②
しおりを挟むその場に現れたのは高齢の女性と綺麗な男の人だった。
「教皇猊下!王太子殿下!」
「何故!」
威圧感がある二人に私もビクついたけど巫女さんが手を握ってくれた。
「女官様が呼んでくださったのね」
「もう安心ですわマリア様」
安心ってどういうことなの?
「私のあずかり知らぬ所で人さらいのような目を行い挙句の果てにまだ年若少女を監禁し、虐待まがいな事をする等言語道断!私達聖職者のあるまじき行動です」
「私達が不在の時を狙ったのか?随分と偉くなったものだな?また悲劇を繰り返す気か」
「そのような言い方はあんまりではありませんか!私達は国の為に‥」
「国の為?自分の為だろうに…聖女召喚は人身御供のようなもの。人身売買よりも質が悪い」
「いくら王太子殿下と言えど…」
「黙れ!」
傍にもう一人控えていた男の人が司祭の腕を捻り上げ床にたたきつける。
「貴様に聖職者としての資格はない。このような狼藉は許されない」
「いだいぃぃ!」
さっきまでの偉そうな態度は何処に言ったのか、情けない悲鳴を上げて涙を流している。
「フレディー」
「はい…手を」
傍に控えている男の人は私に手を差し伸べてくれた。
その手は温かかった。
「巫女達よ、そなたたちの行動に感謝する」
「いいえ、そのような…」
「私の留守をよく守ってくれました。貴女達の立場では難しかったでしょう」
「猊下!」
巫女さん達から尊敬の念を集められている。
私は今日初めて会ったけど悪い人ではないと思った。
根拠はないけど本能で解った。
この人は信じても大丈夫だと。
「彼女は王宮に来てもらう」
「殿下!それは…」
「我が国の問題を異世界の人間に丸投げするなど論外だ。早々に彼女を元の世界に帰す」
「なりませ…」
「黙りなさい!何をしたか解っているのですか」
私を庇いながら猊下と呼ばれるお婆さんが睨む。
「人さらいのような真似をして監禁、暴行、更に罪を重ねる気ですか」
「私はそのような…」
「もう良い。お前の処分は後に告げる!」
遅れて数人の男の人が現れる。
「この男を捕らえよ」
「「はっ!」」
その後私は小さな離宮にて保護された。
「この度は申し訳ない事を」
「なんとお詫びして良いか」
二人に頭を下げられた。
この国の王子様なら頭を下げていいの?
そんな戸惑いを感じながらちゃんとした事情を説明してもらう事になった。
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