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50海の秘宝

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フレースヴェルグの雛鳥の里親になった私だけど。
ここで問題が生じた。

何を食べるのかな?

「基本寒い雪国に住んでいるからな。雪や氷に冷たい水を好む」

「そうなんですね」

「お嬢様、先程から何を食べさせて…」

「え?私のおやつ」

「お嬢様!」


モニーク家を出る前にシェフにお願いして果物をジュースしてもらった。
バナナジュースだ。

「ピー!」

「たんとお飲み」

ごくごくと飲んでいる。
鳥だから虫とか蚯蚓かな?とも思ったけど結構いける口しているな。

「これも食べる?」

「姫様!フレースヴェルグにそのような」

「でも喜んでいるよ」

がくりと項垂れるクレラ。
当の本人は嬉しそうにしているし大丈夫だよね。


今度氷菓子を作って貰おうかな。


「それよりも変なキノコ見つけたんですが」

「何だ…ってトリュフじゃないか!」

「へ?」


変な形のキノコだけど独特な香りがするな。

「何所でこれを!」

「えっとロールが見つけて」

「豚じゃないんだがな」

「キノコか怪しかったし」


こんな形のキノコなんて見た事がない。
だから一応毒キノコではないか確認してもらおうと思ったのだけど。

「あの…これは?」

「キノコを狩る時に刃物がないと困ると思ったんだけど、キノコの傍に落ちていて」

水晶のクリスタル。
使ってみるとサバイバルのナイフよりも切れ味抜群だった。

「これはオリハルコンです」

「へ?」

「伝説の秘宝…」

いやいや、おかしいでしょ?
オリハルコンって確か海底に眠っている最高ランクの秘宝じゃなかった?

何でそんなもんがあるの?

おかしくない?

「海の秘宝をキノコ狩りに」

「何でこうもポンポン見つけるんだ」

その日キノコ狩りは日帰りになった。

「お前はなんてもんを見つけちまうんだい」

「これどうしますかね?」

「アンタ要らないのかい?」

「秘宝じゃお腹は膨れません。どうせなら国に寄付したらどうですか?慈善活動は貴族の基本だって聞きました」

「馬鹿だろお前は」


砂かけ婆様の怒りは相当なモノだった。
一応殿下にお手紙を出した結果、海の秘宝なのでモニーク家が大事に保管すべきだと言われてしまったのだ。


なので。

「海竜さんにあげます」

「ああああ!」

「海の秘宝ですから守ってくださいね」

「ギャウ!」

快く引き受けてくれた海竜さん。
これで安全だし、海の秘宝が海を守ってくれるといいと思った。


なのだけどその数日後。
予想しない出来事が起きたのだ。


モニーク家に大量の真珠が届けられた。


「これは海牛ジュゴンだ」

「えっと…」

「海竜の配下になる魔獣だ」

「ほぇー…」

彼等が何で私に真珠をくれたのかな?


「調べたがオリハルコンを海竜にあげただろう?」

「元々は海の宝ですよね?」

「彼等曰く、神話の秘宝を無償でくれた事に恩を感じたのだろう?オリハルコンは海に生きる種族にとっては価値のある品だ」

「そうなんですか?」

「枯れた珊瑚礁を救う事も汚れた海を浄化する事もできる。ただしオリハルコンは人間を選ぶ」

「えーっと」

「君があの時、迷うことなく海竜に与えた。その結果だ」


イマイチピンとこなかった。
だけど後から解ったのだけどオリハルコンは人の善悪を見分けるようで、私が私利私欲の願いを込めていればオリハルコンは災いを呼んだらしい。


まるで危険な綱渡りだ。


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