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44不思議な石
しおりを挟む「忘れてた」
本当に忘れていた私は今からどうすべきかと悩んだ。
「お嬢様、どうされました」
「フレディーに言うのを忘れていたわ。でも、今日は午後まで帰らないによね」
「そう伺っております」
私を迎える為に休みを取ってくれたんかもしれない。
竜騎士は多忙だと聞いているし、領地と王宮を往復しなくてはならないし。
フレディーはお姉様の護衛も任されているので無理は言えない。
「何か御用でも?」
「えっと、モニーク領地に来てすぐに拾い物をしたの。後でフレディーに聞こうと思ったんだけど」
「お嬢様!その石は…」
あの時拾った石だ。
「お邸に入る前に拾って…そのままだったの」
「お嬢様、ここは王都ではございません。いいえ、王都であろうと落ちている物を拾う行為は危険ですわ」
そんなに危険な石なのかな?
「ジャングルで小石を拾うのとは異なり盗難になるのかな」
「いえ、そうではなく。辺境地内で魔族が生息する領地では魔石や危険な物がありますので」
今まではどんぐりや木の実に貝殻を拾って部屋に飾る習慣があったけど、ここではダメなのかな?
「じゃあ、これもダメ?」
「お嬢様!それは竜の鱗では」
「伯爵夫人が、竜の鱗をコレクションにしているって聞いて。私も羨ましいって言ったら」
「私はその後の展開が安易に想像できます。そんな自分が怖いですわ」
「海竜さんがくれたのよ。皆親切ね」
鱗と言っても色々種類があるらしいのだけど。
私が貰った鱗はアクアマリンのように綺麗な鱗だった。
「今度お礼に魚を沢山釣らないと」
「ソーデスネ…」
石に関してはフレディーのお仕事が終わってから聞いてみよう。
真っ黒な石。
ボコボコの石なのに何処か心惹かれた。
「お嬢様、これは石ではありません」
「え?」
何所から虫眼鏡を出したの?
「これは鉱石の一種です」
「え?」
虫眼鏡であらゆる角度から石を見ると、一部ひびが入った場所から色が違う事に気づく。
「小娘!お前はなんつーもんを見つけたんじゃ!」
「これは翠玉の鉱物だよ!しかも天然だ」
「えーっと」
宝石の知識に疎い私は解らない。
「現在国内では純度の高い宝石はほとんどないわ。真珠にいたっては人工的に作られた品が多いわ。中にはイミテーションがほとんどなの」
「そうなんですか?」
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「でも小さいです」
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でも宝石の勉強なんてしてこなかったし、装飾品に興味ないのよね。
「宝石より私はこっちの方が…」
「アンタ、生まれる種族を間違えたね。竜の化石がそんなに欲しいのかい」
「これで交換とかできませんか」
「…物の価値を理解しな!アンタ、国宝級の宝石を見つけたんだよ」
どうあっても砂かけ婆様は私を叱る。
何故こんなに怒るのだろうか。
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