聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります!

ユウ

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42一輪の花~フレデリックside②

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聖女の存在。
人は彼女を一輪の花と言うけど、花じゃない。


聖女に頼り、聖女さえいればなんとかなる。
そんなのは怠慢だった。

ルミエルは聖女に頼ろうとする考えを嫌い。
聖女だからと特権を与える事はこれまで長い歴史の中神殿を守って来た教皇猊下に巫女達の苦悩をなかった事にすることだ。


なのに彼女は…


「フレディー」


「侯爵令嬢、私の事はモニーク卿とお呼びください」

「公の場はともかく今は良いでしょう?私の事はジャニーと呼んでください」

「ご公務にお戻りください」


私に妙にくっついてくる彼女にげんなりする。
スキンシップをしない所は最低限のマナーを守っているようだが、どうにも受け付けない。


仕事だと割り切って入るが‥


「殿下」

「ここでそんな呼び方をしないでくれ」


公の場以外では殿下と呼ぶなと言われているが王宮内では誰が聞いているか解らない。

「ジャネットにも困ったものだ」

「それは…」

「だが聖女…加護を持つ者の機嫌を損なわせるなと父に言われている」

ルミエルは王太子として聖女となる可能性が高いジャネット嬢の接し方に苦悩していた。
国としては野放しに出来ないが、かなり我慢しているのが解る。

何故なら彼女は公の場でも妹が悪く言われても止めない。
それどころか一緒になって悪く言っている。


優れた姉と出来損ないの妹。
他人の不幸は密の味とはよく言ったものだ。


そんな折、私に見合いの話が来た。
聞けばジャネット嬢の妹君だと聞かされた時は困った。


「何故…」

「保険もある」

「それは彼女が万一何かした時…と言う事ですか」

「半分はな?」


聖女の妹であれば万一姉が国に対して不利益な行動をした時に監視がしやすくなる。
妹君の方も同類ならば…と言う考えだ。


しかしもう半分は?


「ジャネットが恐れる妹というのに興味がないか?」

「恐れる?」

「人は自分より優れているもの、違う者に恐怖を抱く。本人は気づいていないようだが」


成程、妹君を怖がるとはそう言う意味か。

「後はどんな悪口を言われても弁解もしない。両親も手を出していない事だ」

「確かに…」

人の口に戸は立てられない。


「伯母君は彼女に興味を示している」

「母上が?」

「もしかしたらお前の華となるかもしれないぞ」

我が一族の間では妻を一輪の花と例えている。
特に竜王の華と呼ばれる存在は貴重であるが、そんな女性がいるはずがない。


多くは望まない。
せめて私の立場を理解してくれるなら大事にしよう。

竜を道具にしない。
欲に溺れる事がない女性ならば…そう思って初めての顔合わせを迎えたのだったが私の予想は外れた。


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