聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります!

ユウ

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41一輪の花~フレデリックside①

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竜の一族と共存する唯一の戦闘民族。
モニーク家は長い歴史の中、この北の最果てと呼ばれる領地で国の外敵を監視し侵入を許さない。

その一方で最強の武人として恐れられていた。
王族の最後の剣と言われている事もあり親族の中でも最も信頼も強い。

悲しいことに王族・貴族は蝮のようなものだ。
子が親を殺すように。

家族だからと言って信頼し合っているとは言えない。
むしろ親子、兄弟、姉妹の方が憎しみが強いと言う事もあるのだから。


ただ竜騎士である我らは違う。
家族を大事にして、親を敬い兄弟と協力しなくては厳しい環境で生きていけない。

しかし私達は互いに番となる相手。
妻を娶る際に条件がある。


竜族が受け入れるかどうかだ。
そしてもう一つは魔力が低い女性が望ましい。

その理由は、モニーク家の人間に限らず竜騎士は強い魔力を持っている。
それ故に魔力が弱い人間が望ましいのだ。

剣がむき身ではならないように。
鞘となる存在が必要だった。


私の母も巫女であるが魔力はあれど攻撃魔法はまるでない。
結界魔法がある程度だった。

だが、近年。
相性が合う女性が少なく贅沢は言えないのだが、私と見合いをする女性は国を支配したい。

竜を利用する愚かな人間も多い。
後は私の外見を気に入った令嬢なのだが…


そう言った女性は苦手だ。
特に一番苦手なのは彼女だった。


「フレディー!」


「リシュフェール侯爵令嬢」


「まぁ、ここではジャネットとお呼びになって」

「そう言うわけにはまいりません」


社交界の華。
聖女の資格を持つと言われる令嬢。

名前ぐらいは知っている。
リシュフェール家は色んな意味で目立つからな。

いい意味ではない。
悪い意味だ。


前リシュフェール侯爵は典型的な貴族夫人だ。
私達のような武道派集団を野蛮だと毛嫌いして身分差別をするような女性だ。


母上も扱いに困っていた。
その考えを引き継ぐ彼女は関わりたくない。


しかし彼女とルミエル。
私の従弟との婚約が決まった。

正確にはまだ婚約段階だが。


そうなれば私が傍にいる事も当たり前になる。
接する事も多く、ルミエルと一緒にいる時間が多い故に護衛騎士を任せられたのだが。

色々勘違いをしている令嬢だった。
侯爵令嬢であるため社交界の風紀を正さなくてはならないとか。

異国の血を持つ貴族令嬢に自分の感性を押し付け。
他にも下級貴族の令嬢がその場に相応しくないドレスを着て来た時は大勢の前で間違いだと指摘したり。


とある夜会では喪が明けてもしばらくは華やかなドレスを着ないでいた令嬢に対して地味なドレスで夜会に出るなと言う発言には流石に言い過ぎだと思った。


その令嬢は確かに地味なドレスであったが母親の死を悼むための装いだったのだ。
それに地味であっても家紋が刺繍されたドレスだ。

派手さはなくとも一族の家宝となるドレスを貶すなんて許されない。
悪気が無かったとしても、こんな酷い事をする女性が聖女?


例え神であっても私は認めたくなかった。



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