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40願い
しおりを挟むその日の夕方、殿下は王都に戻られた。
私はマリア様にお手紙と大好物のパンにお花と螺鈿のペンダントに日記帳を託した。
何もできない。
できるなんておこがましいし、傲慢な事だと思っている。
でももし叶うなら。
マリア様にお友達になって欲しいと思った。
「しかし交換ノートとは」
「ダメでしたか?」
「ギャウ!」
見送りの時に何故か竜達も揃っていた。
態度は悪かったけど本当はツンデレさんなのね?
素直になれないのね!
「ああ、お嬢様がまた勘違いを」
「これをどうしたら好意と思うんだ。明らかに敵意だ。ある意味恐ろしいな」
「まぁ…それぐらいの方がいいと思うぞ」
三人が同じような目をしている。
可哀想な目を見るような目をしているかと思えば何故か残念そうだったりしている。
「とにかくこの贈り物は必ず渡そう。受け取ってくれると思う」
「はい」
「君の姉君の事に関してだが」
「はい」
「約束はできない」
お姉様をお願いしますと言った事か。
「落ち込むんじゃない。サーシャ」
「フレディー‥でも」
「君の姉君も変わらないとダメだ。自分の殻を破って飛び込まなくては」
「そしたらお姉様は…」
「本人次第だ」
私の手を握りながらしっかりとした口調で言われる。
全てはお姉様次第。
「君も強い思いが合ってモニーク家に嫁ぐ決意をした。そうだな?」
「はい」
「姉のジャネットも同じはずだ。聖女となる事をの望んだのは彼女だ。強い思いがあったから」
こういう時の二人の表情はやっぱり似ていた。
私達姉妹よりもずっと似ているのが悲しいと思ったけど。
「また会おう」
「はい」
こうして殿下は空から王都に戻られたのだった。
「大丈夫だサーシャ」
「フレディー」
「君の気持も伝わるさ。なんせ君は竜とも心を通じ合わせたんだからな」
「はい!」
今は無理でも何時か通じ合えたらいいな。
お姉様が私の事を好きになってくれたら嬉しい。
その為にも私はお姉様を理解しないといけない。
そうだわ。
マリア様を元の世界に帰れるように私もできる限り調べてみよう。
砂かけ婆様も何か知っているかもしれないと思ったのだけど。
「お前は馬鹿か?」
「んなもん知るわけないじゃろ」
「知っててもタダで教えると思ったか」
簡単にいくわけもなく、早々に断られてしまった。
やはり自力で調べるしかない。
「甘辛い世の中ですね」
「世知辛いだぞサーシャ」
「あ…」
「もう少し勉強が必要だな」
私は私で勉強が足りないのでまだまだ道のりは遠かった。
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