聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります!

ユウ

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32婚約者の条件~伯爵夫人side①

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社交界もで噂になっている令嬢の妹。
聖女候補で王太子殿下の婚約者でもあるジャネット・リシュフェールは典型的な箱入り娘だった。

幼少期に聖女の資格があると言われたのをいいことに自分は聖女だと思い込んでいる。

なんとも露骨で愚かなのか。
ご両親は立派な方なのに、身分絶対主義を貫きマナーに身の程を弁えないあの性格の悪さは祖母とそっくりだわ。


王都の貴族は辺境貴族を見下し馬鹿にしている。
中央を優先するがために私達の事を顧みないのが当然になっている。

私達は国を、王家を守る事に賛成しても、何の力もない無力な愚か者に見下されるいわれはない。

そんな中カルディ様は柔軟な考えを持つ方だ。
辺境貴族を無視する事無く、しかし王都を安定させなければならない事を訴えた上で救済措置が必要だと援助してくださっている。


辺境地では若い者が王都に派遣される一方で年配の者は使えないと見放されている。
仕事を無くし、行き場を失った彼等を再雇用すべきだと意見を出してくださったのはカルディ様だ。


正規で雇うよりも給金は安いが、知識と経験を買ってくださったのだ。
辺境貴族の中でも竜族と共存するような一族は特殊で、一部では不気味がられたり怖がられたりするのだ。

けれど彼は違う。
国の最後の守り手だと言ってくださった。


そんな立派な方の父君を持ちながらあの娘は差別意識が強く自分だけが正しいと思っている。


その姉ならば妹は…と思っていたけど。



「あの馬鹿娘の妹を嫁にとはお前も酔狂な真似をするな」

「お婆様、私は自分の目で確かめようと思ってますの」

社交界の噂は酷い物だった。
頭が悪く我儘放題で勉強も満足にせず、姉を困らせている。

非の打ちどころのない姉を傷つけている最低な妹。
社交界にも出られない程の非常識で養子に出さざるを得ない等と言う噂が流れている。


おかしいと思った。
多少で出来が悪くとも相手は侯爵令嬢。

下級貴族がそんな噂をしていれば、どんな目に合うか解らないわけがない。

故意的に妹君を下げて、姉君を上げようとしている。


噂の出所はあのクソ婆だという事が後から解った。


真実は別だった。
物心つく前から差別され育ち、逆恨みを恐れたあのクソ婆が表に出れないように手を出したとか。

ちゃんとした教育もさせずあからさまな差別をさせ、いざ公に出る時は違いを見せつけたとか。

幼少期から徹底的に教育された者とそうでない者。
違いが出て当然なのに。

でも私は遠目から彼女を見た時、感じたの。

あの悪意の中地に足をつけて立っている。
泣きそうか顔をするでもなく耐えている彼女に感じた。



「鈍いだけじゃろ」

「それとも大物か」


グライアイ姉妹のお婆様に相談すると賛否両論だった。
確かにこれだけでは解らない。

「ただお前は勘が鋭く巫女であったからのぉ…もしかしたらと言う可能性もある」

「では!」

「ならば婚約だけして試してみるがいい。竜が決めるだろう」


我が家はモニーク家に嫁ぐ条件は竜族との相性によるものだ。
彼等が拒絶すればその資格はない。

だから私は判断を任せたのだけど…


竜族は彼女を選んだ。
それだけではなかく、人に懐かない翼竜と海竜が懐いたのだ。


この時私は思ったの。
私の目は間違いではないと思ったけど。

それだけではなかった。

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