33 / 155
32婚約者の条件~伯爵夫人side①
しおりを挟む
社交界もで噂になっている令嬢の妹。
聖女候補で王太子殿下の婚約者でもあるジャネット・リシュフェールは典型的な箱入り娘だった。
幼少期に聖女の資格があると言われたのをいいことに自分は聖女だと思い込んでいる。
なんとも露骨で愚かなのか。
ご両親は立派な方なのに、身分絶対主義を貫きマナーに身の程を弁えないあの性格の悪さは祖母とそっくりだわ。
王都の貴族は辺境貴族を見下し馬鹿にしている。
中央を優先するがために私達の事を顧みないのが当然になっている。
私達は国を、王家を守る事に賛成しても、何の力もない無力な愚か者に見下されるいわれはない。
そんな中カルディ様は柔軟な考えを持つ方だ。
辺境貴族を無視する事無く、しかし王都を安定させなければならない事を訴えた上で救済措置が必要だと援助してくださっている。
辺境地では若い者が王都に派遣される一方で年配の者は使えないと見放されている。
仕事を無くし、行き場を失った彼等を再雇用すべきだと意見を出してくださったのはカルディ様だ。
正規で雇うよりも給金は安いが、知識と経験を買ってくださったのだ。
辺境貴族の中でも竜族と共存するような一族は特殊で、一部では不気味がられたり怖がられたりするのだ。
けれど彼は違う。
国の最後の守り手だと言ってくださった。
そんな立派な方の父君を持ちながらあの娘は差別意識が強く自分だけが正しいと思っている。
その姉ならば妹は…と思っていたけど。
「あの馬鹿娘の妹を嫁にとはお前も酔狂な真似をするな」
「お婆様、私は自分の目で確かめようと思ってますの」
社交界の噂は酷い物だった。
頭が悪く我儘放題で勉強も満足にせず、姉を困らせている。
非の打ちどころのない姉を傷つけている最低な妹。
社交界にも出られない程の非常識で養子に出さざるを得ない等と言う噂が流れている。
おかしいと思った。
多少で出来が悪くとも相手は侯爵令嬢。
下級貴族がそんな噂をしていれば、どんな目に合うか解らないわけがない。
故意的に妹君を下げて、姉君を上げようとしている。
噂の出所はあのクソ婆だという事が後から解った。
真実は別だった。
物心つく前から差別され育ち、逆恨みを恐れたあのクソ婆が表に出れないように手を出したとか。
ちゃんとした教育もさせずあからさまな差別をさせ、いざ公に出る時は違いを見せつけたとか。
幼少期から徹底的に教育された者とそうでない者。
違いが出て当然なのに。
でも私は遠目から彼女を見た時、感じたの。
あの悪意の中地に足をつけて立っている。
泣きそうか顔をするでもなく耐えている彼女に感じた。
「鈍いだけじゃろ」
「それとも大物か」
グライアイ姉妹のお婆様に相談すると賛否両論だった。
確かにこれだけでは解らない。
「ただお前は勘が鋭く巫女であったからのぉ…もしかしたらと言う可能性もある」
「では!」
「ならば婚約だけして試してみるがいい。竜が決めるだろう」
我が家はモニーク家に嫁ぐ条件は竜族との相性によるものだ。
彼等が拒絶すればその資格はない。
だから私は判断を任せたのだけど…
竜族は彼女を選んだ。
それだけではなかく、人に懐かない翼竜と海竜が懐いたのだ。
この時私は思ったの。
私の目は間違いではないと思ったけど。
それだけではなかった。
聖女候補で王太子殿下の婚約者でもあるジャネット・リシュフェールは典型的な箱入り娘だった。
幼少期に聖女の資格があると言われたのをいいことに自分は聖女だと思い込んでいる。
なんとも露骨で愚かなのか。
ご両親は立派な方なのに、身分絶対主義を貫きマナーに身の程を弁えないあの性格の悪さは祖母とそっくりだわ。
王都の貴族は辺境貴族を見下し馬鹿にしている。
中央を優先するがために私達の事を顧みないのが当然になっている。
私達は国を、王家を守る事に賛成しても、何の力もない無力な愚か者に見下されるいわれはない。
そんな中カルディ様は柔軟な考えを持つ方だ。
辺境貴族を無視する事無く、しかし王都を安定させなければならない事を訴えた上で救済措置が必要だと援助してくださっている。
辺境地では若い者が王都に派遣される一方で年配の者は使えないと見放されている。
仕事を無くし、行き場を失った彼等を再雇用すべきだと意見を出してくださったのはカルディ様だ。
正規で雇うよりも給金は安いが、知識と経験を買ってくださったのだ。
辺境貴族の中でも竜族と共存するような一族は特殊で、一部では不気味がられたり怖がられたりするのだ。
けれど彼は違う。
国の最後の守り手だと言ってくださった。
そんな立派な方の父君を持ちながらあの娘は差別意識が強く自分だけが正しいと思っている。
その姉ならば妹は…と思っていたけど。
「あの馬鹿娘の妹を嫁にとはお前も酔狂な真似をするな」
「お婆様、私は自分の目で確かめようと思ってますの」
社交界の噂は酷い物だった。
頭が悪く我儘放題で勉強も満足にせず、姉を困らせている。
非の打ちどころのない姉を傷つけている最低な妹。
社交界にも出られない程の非常識で養子に出さざるを得ない等と言う噂が流れている。
おかしいと思った。
多少で出来が悪くとも相手は侯爵令嬢。
下級貴族がそんな噂をしていれば、どんな目に合うか解らないわけがない。
故意的に妹君を下げて、姉君を上げようとしている。
噂の出所はあのクソ婆だという事が後から解った。
真実は別だった。
物心つく前から差別され育ち、逆恨みを恐れたあのクソ婆が表に出れないように手を出したとか。
ちゃんとした教育もさせずあからさまな差別をさせ、いざ公に出る時は違いを見せつけたとか。
幼少期から徹底的に教育された者とそうでない者。
違いが出て当然なのに。
でも私は遠目から彼女を見た時、感じたの。
あの悪意の中地に足をつけて立っている。
泣きそうか顔をするでもなく耐えている彼女に感じた。
「鈍いだけじゃろ」
「それとも大物か」
グライアイ姉妹のお婆様に相談すると賛否両論だった。
確かにこれだけでは解らない。
「ただお前は勘が鋭く巫女であったからのぉ…もしかしたらと言う可能性もある」
「では!」
「ならば婚約だけして試してみるがいい。竜が決めるだろう」
我が家はモニーク家に嫁ぐ条件は竜族との相性によるものだ。
彼等が拒絶すればその資格はない。
だから私は判断を任せたのだけど…
竜族は彼女を選んだ。
それだけではなかく、人に懐かない翼竜と海竜が懐いたのだ。
この時私は思ったの。
私の目は間違いではないと思ったけど。
それだけではなかった。
161
お気に入りに追加
3,796
あなたにおすすめの小説
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

婚約破棄された公爵令嬢は本当はその王国にとってなくてはならない存在でしたけど、もう遅いです
神崎 ルナ
恋愛
ロザンナ・ブリオッシュ公爵令嬢は美形揃いの公爵家の中でも比較的地味な部類に入る。茶色の髪にこげ茶の瞳はおとなしめな外見に拍車をかけて見えた。そのせいか、婚約者のこのトレント王国の王太子クルクスル殿下には最初から塩対応されていた。
そんな折り、王太子に近付く女性がいるという。
アリサ・タンザイト子爵令嬢は、貴族令嬢とは思えないほどその親しみやすさで王太子の心を捕らえてしまったようなのだ。
仲がよさげな二人の様子を見たロザンナは少しばかり不安を感じたが。
(まさか、ね)
だが、その不安は的中し、ロザンナは王太子に婚約破棄を告げられてしまう。
――実は、婚約破棄され追放された地味な令嬢はとても重要な役目をになっていたのに。
(※誤字報告ありがとうございます)

【完結】婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します

【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる